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NTT、オンチップ量子バッファを世界で初めて実現
November 14, 2013, 東京--日本電信電話(NTT)は、光子パルスが光導波路中を進む速度が真空中の光速より大幅に遅くなる「スローライト」効果を用いて、光導波路上にオンチップで集積化した量子バッファを世界で初めて実現した。
この成果により、光子を相互作用させ演算操作を行う量子ゲートを構成するために必要な「光子の干渉」における光子の正確な同期を達成出来ることから、光子を基本素子とした量子コンピュータ実現に向けて大きな可能性が広がったとNTTは説明している。
NTT研究所は、シリコンフォトニック結晶技術を用いて作製した結合ナノ共振器中で、光子パルスがそのパルス形状を保ったまま真空中の光速より大幅に遅い速度で伝搬するスローライト効果を用いて、光子に対する量子バッファを実現した。
この量子バッファを用いた実験の結果、結合ナノ共振器により光子パルスの伝搬速度を大幅に減速(真空中の光速の1/60程度)しつつ、光子の量子状態を忠実に保持することが出来たことにより、同技術が光導波路上にオンチップで集積化した量子バッファとして適用可能であることを確認した。
量子バッファの実現により、多様な回路構成において光子の同期が容易になるため、集積化量子光回路の大規模化が可能となる。また、量子バッファの保持時間を変化させることにより、遂行したい量子計算タスクにあわせて回路を再構成可能な集積化量子光回路を実現できる。
作製した量子バッファの動作確認実験
・2光子の発生時刻に相関のある量子相関光子対パルス(パルス幅20 ps)の一方の光子パルスを結合ナノ共振器中で伝搬させた後、2光子の時間相関を測定。この結果、2光子が発生時刻の相関を保ったまま、一方が150 ps保持されたことを確認。
・結合ナノ共振器の温度を変化させることにより、保持時間を50 psにわたり変化可能であることを実証。
・量子もつれ光子対の一方の光子を結合ナノ共振器中で伝搬させた後にも、2光子の間の量子もつれ状態が忠実に保持されることを確認。
技術のポイント
(1)シリコンフォトニック結晶結合ナノ共振器
光パルスを減速させる能力に優れている光共振器を多数結合することにより、スローライトを実現できることが知られている。今回、NTT研究所はシリコンフォトニック結晶技術を用いて、光閉じ込めの非常に強い光ナノ共振器を400個結合した全長840µmの結合ナノ共振器を作製。これは、これまでに世界で報告された最大の共振器数の結合ナノ共振器。同デバイスの採用により、光子パルスの形状を保持したままパルス伝搬の大幅な減速(真空中の光速の1/60程度)を実現。
(2)光通信波長帯量子相関/量子もつれ光子対発生、測定系による光子パルス遅延測定
今回用いた結合ナノ共振器は1.5µm光通信波長帯の限られた帯域の光子に対してのみスローライト媒質として動作する。そのため、今回の実験では光ファイバ中の自然放出四光波混合を用いて1.5µm帯の量子相関・量子もつれ光子対を発生し、測定に利用した。さらに、測定には光子パルスを高い信号対雑音比かつ高い時間分解能で検出することのできる超伝導単一光子検出器を用いた。この測定にあたっては、NTT研究所の最先端光通信波長帯における量子光学測定技術により、従来は困難であった単一光子の高時間分解能測定が可能になり、かつバッファにおいて光子の量子もつれ状態が保持されていることを実証することができた。
今後の予定についてNTTは、「今回実現した量子バッファに加え、導波路上に集積化した高効率光子検出器の作製を行う。さらに、量子もつれ光子対源、光子検出器、光子干渉回路等を光導波路上に実装した集積化量子光回路を構築し、光子を基本素子とした量子コンピュータの実現に向けた要素技術の研究を進める」としている。
この成果により、光子を相互作用させ演算操作を行う量子ゲートを構成するために必要な「光子の干渉」における光子の正確な同期を達成出来ることから、光子を基本素子とした量子コンピュータ実現に向けて大きな可能性が広がったとNTTは説明している。
NTT研究所は、シリコンフォトニック結晶技術を用いて作製した結合ナノ共振器中で、光子パルスがそのパルス形状を保ったまま真空中の光速より大幅に遅い速度で伝搬するスローライト効果を用いて、光子に対する量子バッファを実現した。
この量子バッファを用いた実験の結果、結合ナノ共振器により光子パルスの伝搬速度を大幅に減速(真空中の光速の1/60程度)しつつ、光子の量子状態を忠実に保持することが出来たことにより、同技術が光導波路上にオンチップで集積化した量子バッファとして適用可能であることを確認した。
量子バッファの実現により、多様な回路構成において光子の同期が容易になるため、集積化量子光回路の大規模化が可能となる。また、量子バッファの保持時間を変化させることにより、遂行したい量子計算タスクにあわせて回路を再構成可能な集積化量子光回路を実現できる。
作製した量子バッファの動作確認実験
・2光子の発生時刻に相関のある量子相関光子対パルス(パルス幅20 ps)の一方の光子パルスを結合ナノ共振器中で伝搬させた後、2光子の時間相関を測定。この結果、2光子が発生時刻の相関を保ったまま、一方が150 ps保持されたことを確認。
・結合ナノ共振器の温度を変化させることにより、保持時間を50 psにわたり変化可能であることを実証。
・量子もつれ光子対の一方の光子を結合ナノ共振器中で伝搬させた後にも、2光子の間の量子もつれ状態が忠実に保持されることを確認。
技術のポイント
(1)シリコンフォトニック結晶結合ナノ共振器
光パルスを減速させる能力に優れている光共振器を多数結合することにより、スローライトを実現できることが知られている。今回、NTT研究所はシリコンフォトニック結晶技術を用いて、光閉じ込めの非常に強い光ナノ共振器を400個結合した全長840µmの結合ナノ共振器を作製。これは、これまでに世界で報告された最大の共振器数の結合ナノ共振器。同デバイスの採用により、光子パルスの形状を保持したままパルス伝搬の大幅な減速(真空中の光速の1/60程度)を実現。
(2)光通信波長帯量子相関/量子もつれ光子対発生、測定系による光子パルス遅延測定
今回用いた結合ナノ共振器は1.5µm光通信波長帯の限られた帯域の光子に対してのみスローライト媒質として動作する。そのため、今回の実験では光ファイバ中の自然放出四光波混合を用いて1.5µm帯の量子相関・量子もつれ光子対を発生し、測定に利用した。さらに、測定には光子パルスを高い信号対雑音比かつ高い時間分解能で検出することのできる超伝導単一光子検出器を用いた。この測定にあたっては、NTT研究所の最先端光通信波長帯における量子光学測定技術により、従来は困難であった単一光子の高時間分解能測定が可能になり、かつバッファにおいて光子の量子もつれ状態が保持されていることを実証することができた。
今後の予定についてNTTは、「今回実現した量子バッファに加え、導波路上に集積化した高効率光子検出器の作製を行う。さらに、量子もつれ光子対源、光子検出器、光子干渉回路等を光導波路上に実装した集積化量子光回路を構築し、光子を基本素子とした量子コンピュータの実現に向けた要素技術の研究を進める」としている。