All about Photonics

Home > News > News Details

News Details ニュース詳細

ハーバードSEAS、新しいコーティング技術を開発

November 12, 2013, Cambridge--ハーバード大学工学・応用科学部(SEAS)で新しいコーティング技術によって素早いカムフラージュが一歩前進した。このコーティングは本質的に、本来の温度を温度カメラに対して隠す。
実験室のテストでは、応用物理学の研究チームがデバイスをホットプレートにに設置して温度を上昇させ、赤外カメラでそれを観察した。最初は予想通りに、サンプルが加熱されるにともない赤外光が多くなった。60℃で、カメラには青緑に見え、70℃で赤と黄色になり、74℃で深紅になった。次に起こったことは、熱放射の急落だった。80℃では60℃であるかのように青く見え、85℃では一段と冷たく見えた。さらに、この効果は何度も繰り返し反復できた。
これらの結果は、幅広い軍事および日常的アプリケーションに寄与できる新しいタイプの人工材料の可能性を示している。
主席研究者Rederico Capasso、応用物理学教授、Robert L. Wallace、ハーバードSEAS電気工学シニアリサーチフェロー、Vinton Hayesは、このコーティングは、少しの調整により、新しいタイプの熱カムフラージュあるいは暗号化されたビーコンとして利用して、戦場の兵士が極秘に通信できるようになる、と予測している。
この技術の秘密は、酸化バナジウム極薄膜にある。これは独特の材料で、特定の温度に達すると電気的変化が劇的に起こる。例えば室温では、純粋酸化バナジウムは電気的に絶縁であるが、少し温度が上がると金属の電気導体に変わる。この転移過程でその光特性も変わる、赤外カムフラージュのように、特別な温度依存効果も達成される。
この絶縁体金属転移は、1959年以来酸化バナジウムで認識されていた。しかし、取り扱いが難しい材料であり、バルク結晶では転移の応力で亀裂が生じ、サンプルが粉々になることがよくある。材料合成と特性評価の最近の進歩、特にハーバードSEAS材料科学助教授、Shriram Ramanathanによる成果で、酸化バナジウム薄膜の極純サンプルが造れるようになった。これにより、わずか数年で新しい材料科学と工学が突然可能になった。 
ハーバードSEASのCapassoグループの院生、Mikhail Kats氏によると、添加、変更、材料歪で不純物あるいは欠陥を制御しながら導入すると、幅広い範囲で興味深い、重要な、また予測可能な振る舞いを実現することができる。
例えば、酸化バナジウムにタングステンを添加すると転移温度が室温まで下げられ、未知の熱放射効果が起こる熱の範囲が広がる。特定の結果を念頭に、このように材料特性を調整することによってエンジニアリングを新たな方向に進めることが可能になる。
研究チームによると、酸化バナジウムタイルをコーティングした車輌はカメレオンのように環境を模倣することができ、タイルの実際の温度をわずかに調整することで赤外カメラから見えなくなる。これは現在使われているアプローチよりも遙かに効率的なシステムとなる。
調整を変えるとこの材料は極秘ビーコンの成分となり、赤外監視カメラに合わせて特別な温度識別特性を示す。Capassoチームは、この材料を特定の波長で動作するように設計できるとしており、個別に識別可能な多数の兵士が同時に使うことができる。
また、熱放射は熱を運ぶので、同じような効果を使って家屋からサテライトまで構造物の冷却を意図的に速めたり遅くしたりすることに使用できる。
ハーバードチームの最大の貢献は、酸化バナジウムの転移領域で自然に現れるナノスケール構造を使って特殊レベルの調整ができることの発見である。これは、熱の上昇にともなう熱放射抑制に使用できる。研究チームは、そのような自発的構造材料の「自然の、不規則なメタマテリアル」に注意を向けている。
(詳細は、 www.seas.harvard.edu)

製品一覧へ

関連記事

powered by weblio





辞書サイトweblioでLaser Focus World JAPANの記事の用語が検索できます。

TOPへ戻る

Copyright© 2011-2013 e.x.press Co., Ltd. All rights reserved.