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NICT、有機・シリコンを融合超小型高性能「電気光学変調器」開発

October 22, 2013, 東京--情報通信研究機構(NICT)は、有機・シリコン融合フォトニクス技術を用いて、電気信号を光信号に置き換える電気光学変調器の大幅な小型・高性能化に成功した。
従来の素子と比べ、素子サイズを1000分の1に小型化したほか、変調効率を10倍以上向上させた。これは、シリコンチップ内やチップ間で100GHz以上の超高速信号の伝送を可能とする光配線技術の実現につながるもので、コンピュータ処理能力や情報通信速度の飛躍的な向上、巨大化する情報通信システムの小型・省エネルギー化が期待される。
NICTでは、新たに開発した有機・シリコン融合フォトニクス技術を駆使し、シリコン1次元フォトニック結晶構造と有機電気光学(EO)ポリマとを組み合わせることで、従来の代表的な電気光学変調器であるLN変調器と比べ、素子サイズを1000分の1に小型化し、変調効率を10倍以上向上させることに成功した。
有機電気光学ポリマ材料は、高い電気光学係数と超高速応答性(100GHz以上)を持っているが、その屈折率が小さいため、小型・集積化は困難であると考えられてきた。今回の成果は、シリコン1次元フォトニック結晶と有機電気光学ポリマとのハイブリッド構造を実現することで、数百ナノメートル(nm)以下という微小領域に光を閉じ込めて伝搬させることが可能となり、これによって素子サイズの大幅な小型化を実現した。また、フォトニック結晶構造の中では、「スローライト」という減速した光状態をつくり出すことが可能であり、この効果を利用してデバイス内の電気光学特性を大幅に増大させることで、電気信号から光信号への変換効率を高めた。
今回開発した電気光学変調器は、非常にシンプルな構造で、既存のシリコンCMOSプロセス、シリコンフォトニクスとの整合性も高く、低コスト化、実用化に適した構造でありながら、従来のLNやシリコンCMOSフォトニクスでは、決して実現できない(1)低消費電力、(2)超小型、(3)超高速という3つの特性を併せ持っている。これは、100GHzを超える超高速・低消費電力なオンチップ光配線、チップ間の光通信の実現につながるものとして期待される。
今回の成果は、LSIのボトルネックとなっている電気配線部を光配線に置き換える、超高速な光配線技術、光/電子融合集積回路の実現可能性を飛躍的に高める新しい技術として大いに期待される。NICTでは、今回開発した世界をリードする有機・シリコン融合集積フォトニクス技術を更に発展させ、電気光学デバイスの一層の高性能化を目指すとともに、安定性や信頼性の検証といった実用化に向けた取組を進めていく。

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