Laser Focus World JAPAN　レーザーフォーカスワールドジャパン

August 1, 2013, Cambridge--人間の細胞はおよそ20000の遺伝子を持っているが、どんな時でも、細胞の必要に応じて、その一部しか働いてない。機能する遺伝子は、分単位または時間単位で変わるので、遺伝子の働きを知ろうとすると、研究者は同様に短い時間で遺伝子の状態を操作できるツールが必要になる。
今ではこれが可能になっている。これはMITとブロードインスティテュート(Broad Institute)が開発した技術で、その技術を用いると細胞に光を照射するだけで、着目したどんな遺伝子でも素早くその発現をON/OFFできる。
この成果は、光に反応して機能を変えるタンパク質を利用する、光遺伝学として知られる技術をベースにしている。この場合、研究者は特定のターゲット遺伝子の発現を光によって直ちに刺激したり抑圧したりできるように、光感度のあるタンパク質を適合させた。
MITの脳と認知科学院生、Silvana Konermann氏によると、細胞は極めて短い時間尺度で起こる非常にダイナミックな遺伝子発現を持っている。「しかし、遺伝子発現に摂動を加えるのに用いられた方法は、これまでそうした動力学に近づくことさえない。このような遺伝子発現の機能的な影響をよりよく理解するために、自然に起こる動力学と可能な限り調和がとれていなければならない」と同氏はコメントしている。
遺伝子発現のタイミングと持続時間を正確に制御することができると、特定の遺伝子の役割、特に学習と記憶に関わる遺伝子の役割を解明することが遙かに容易になる。この新しいシステムは、後成的変更、DNAを取り囲むタンパク質の化学的変化の研究にも使える。こうした変化も学習と記憶で重要な役割を果たすと考えられている。
この新しいシステムは、相互作用によりDNAをメッセンジャRNA(mRNA)にコピーするいくつかの要素で構成されている。mRNAは、他の細胞に遺伝的指令を伝達する。
(詳細は、www.mit.edu/Nature発表の論文)