Laser Focus World JAPAN　レーザーフォーカスワールドジャパン

June 4, 2013, Singapore--A*STARマイクロエレクトロニクス研究所(IME)の研究グループは、超高速長距離通信向けにシリコンベース光変調器を設計し開発した。
このデバイスにより、ダウンロード速度が最新のEthernet標準よりも50％高速になる。この技術は、現行の製造プロセスを用いて実現できるもので、これにより高速データ通信が手頃な価格で量産できるようになる。
光通信ネットワークの変調器は、電気信号を光信号に変換するデバイス。信号変換プロセスのスイッチング速度によってデータパケットが送出されるレートが決まるため、変調器は最も重要なステップの1つとされている。長距離光通信では、伝送される信号品質が極めて重要であり、パフォーマンス特性は、変調器の消光比によって規定される。
IMEの変調器は、50Gbpsデータ速度で消光比5.5dBを実現しており、データ歪に対する耐性はこれまで報告された中で最も高いので、高品質の光信号を伝送できる距離が今まで以上に延びる。この変調器は、商用で広く使われているOOK変調フォーマットを使用する。このフォーマットをQPSKやDP-QPSKなどの最先端のマルチレベル変調方式に適用すると、情報容量と総データ通信は、それぞれ100Gbps、200Gbpsになる。現行の最先端の変調器と比較すると、IMEの変調器では入力パワーが50％少ないので、HPCやデータセンタでは冷却とエネルギー消費の最適化が可能になり、コスト削減につながる。
このプロジェクトに取り組んだIMEのDr Tu Xiaoguangは今回のブレイクスルーについて、「新しい構造設計を採用することで精度の高いP-Nジャンクションプロファイルを達成し、これによって光信号品質で妥協することなく高速変調速度を実現した。これが、シリコン変調器の著しいパフォーマンス向上につながった。現在、さらにスイッチング速度を上げるために新たな設計にとりくんでいる」と話している。