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原子スケール半導体デバイス時代の幕開けとなる新技術

May 30, 2013, Raleigh--ノースカロライナ州立大学(NCSU)の研究グループは、原子スケールで高品質の半導体薄膜を作製する新技術を開発した。この技術は、このような薄膜を大規模生産、2インチあるいはそれ以上のサイズのウェハ製造に展開することができる。
NCSUの材料科学・工学、Dr. Linyou Cao助教授は、「この技術で現在の半導体技術を原子スケールに縮小してレーザ、LED、コンピュータチップなどを作ることができる。このような考えは以前から話題にはなっていたが、実現できなかった。今回の発見で、それが可能になると考えている」とコメントしている。
研究グループは、硫化モリブデン(MoS2)に取り組んできた。MoS2は安価な半導体材料で、すでに半導体産業で使われている材料と似通った電気的、光学的特性を持っている。しかし、MoS2は、その特性を損なうことなくわずか1原子厚の層に成長できる点で他の半導体材料と区別される。
この新技術では、研究グループは、硫黄と塩化モリブデンの粉末を炉に入れ、徐々に温度を上げて850℃にした。これは粉末が気化する温度だ。この2つの物質は高温に反応してMoS2を形成する。高温状態でこの気相は基板上に薄い層となって堆積する。
「成功の決め手は、これまでにない製造メカニズム、自己制限成長法だ」とCao氏は言う。炉の分圧と蒸気圧をコントロールすることでMoS2層の厚さを正確に制御できる。分圧は、空中の原子または分子が凝集して固体になり、基板に堆積する傾向であり、蒸気圧は基板上の固体原子または分子が気化して空中に上昇する傾向を示している。
基板上にMoS2の単層を造るには、分圧は蒸気圧よりも高くなければならない。分圧が高ければ高いほど、堆積するMoS2の総数がますます増える。分圧が、基板上の原子の単層の蒸気圧よりも高く、2つの層の蒸気圧よりも高くないなら、分圧と蒸気圧とのバランスで、単層が形成されると薄膜の成長が自動的に確実に止まるようにすることができる。Cao氏は、これを「自己制限」成長と呼んでいる。 
分圧は、炉の中の塩化モリブデンの量を調整することで制御する。炉の中のモリブデンが多ければ多いほど、分圧は高くなる。
「この技術を用いて、われわれはウェハスケールのMoS2単層薄膜を造ることができる、これは毎回、1原子の厚さになる。2原子、3原子あるいは4原子厚の層も造れる」とCao氏は言う。
研究グループは現在、原子層がそれぞれ違う材料でできた同様の薄膜を作製する方法に取り組んでいる。また、Cao氏は、この技術を用いてFETやLEDを造ることにも取り組んでいる。
(詳細は、 www.ncsu.edu)


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