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ミシガン大学、シングルフォトンエミッタを開発
April 12, 2013, Ann Arbor--量子暗号通信を実用化するための開発でミシガン大学の研究グループは、従来の半導体プロセス技術を用いて実現可能な、簡素化された、より効率的なシングルフォトンエミッタを実証した。
シングルフォトン(単一光子)エミッタは、1度に1つの光粒子、つまり1個のフォトンを放出する。これは、フォトン列を放出するレーザなどのデバイスとは異なる。シングルフォトンエミッタは量子暗号にとって極めて重要であり、これはいわゆる観察者効果を利用することで安全を確保している。量子の世界ではシステムを観察することは常に、それを変えることであるため、盗聴行為そのものがメッセージを乱すことになる。
量子暗号が機能するには、メッセージを一度に1個のフォトンにエンコードすることが必要になる。こうすることで、送信者と受信者は、誰かが不正にそのメッセージを改竄しているかどうかを知ることができる。
ミシガン大学の研究チームはシングルフォトンエミッタを最初に実現したのではなかったが、新しいデバイスは現在の技術を基に改善されており、作製はより簡単になったと研究チームは説明している。
電気工学・コンピュータサイエンスCharles M. Vest名誉教授、James R. Mellor工学部教授、Pallab Bhattacharya氏は「これは非常にシンプルであり、すべてシリコンをベースにしている」と語っている。
Bhattacharya氏は、このプロジェクトを主導して、その成果をNatureに発表している。このエミッタは、InGaNの微小領域(量子ドット)を持つGaNでできた1個のナノワイヤで、1個の量子ドットが、1ビットの情報を生成できるナノ構造になっている。従来のコンピュータのバイナリコードでは、1ビットは0または1である。量子ビット(qubit)は、同時にそのどちらかであるか、両方となりうる。
新しいエミッタの半導体材料は、一般にはLEDや太陽電池に使用されている。研究チームは、シリコンウェハ上にナノワイヤを成長させた。その技術はシリコンベースであるので、エミッタを大規模に製造するインフラストラクチャはすでに存在する。シリコンは、現代のエレクトロニクスの基盤となっている。
Bhattacharya氏は「実用的な電気注入シングルフォトンエミッタへの道を開いたと言う点でこれは大きな前進である」とコメントしている。
この新技術の成功への鍵は、サイズとコンパクトであること。Bhattacharya氏によると、ナノワイヤ径を非常に小さくし、微小部分の組成を変えることで量子ドットが実現した。
ミシガン大学のエミッタは、光ではなく電気を注入する。この点は、実用化のためのもう1つの側面。放出する個々のフォトンは、同等の直線偏向となっている。偏向は、光ビームの電界の方向。ほとんどの他のシングルフォトンエミッタは、ランダム偏向のフォトンを放出する。
「したがって、半分は1つの偏向で、他の半分は別の偏向となる。量子暗号メッセージでは、それにエンコードしようとすると、フォトンの半分しか使えないことになる。われわれのデバイスでは、ほとんど全てのフォトンを使うことができる」(Bhattacharya氏は)。
このデバイスは、極低温で動作するものだが、研究チームは室温付近で動作するデバイスの開発にとりかかっている。
(詳細は、Nature: "Electrically-driven polarized single-photon emission from an InGaN quantum dot in a GaN nanowire."/ www.umich.edu)
シングルフォトン(単一光子)エミッタは、1度に1つの光粒子、つまり1個のフォトンを放出する。これは、フォトン列を放出するレーザなどのデバイスとは異なる。シングルフォトンエミッタは量子暗号にとって極めて重要であり、これはいわゆる観察者効果を利用することで安全を確保している。量子の世界ではシステムを観察することは常に、それを変えることであるため、盗聴行為そのものがメッセージを乱すことになる。
量子暗号が機能するには、メッセージを一度に1個のフォトンにエンコードすることが必要になる。こうすることで、送信者と受信者は、誰かが不正にそのメッセージを改竄しているかどうかを知ることができる。
ミシガン大学の研究チームはシングルフォトンエミッタを最初に実現したのではなかったが、新しいデバイスは現在の技術を基に改善されており、作製はより簡単になったと研究チームは説明している。
電気工学・コンピュータサイエンスCharles M. Vest名誉教授、James R. Mellor工学部教授、Pallab Bhattacharya氏は「これは非常にシンプルであり、すべてシリコンをベースにしている」と語っている。
Bhattacharya氏は、このプロジェクトを主導して、その成果をNatureに発表している。このエミッタは、InGaNの微小領域(量子ドット)を持つGaNでできた1個のナノワイヤで、1個の量子ドットが、1ビットの情報を生成できるナノ構造になっている。従来のコンピュータのバイナリコードでは、1ビットは0または1である。量子ビット(qubit)は、同時にそのどちらかであるか、両方となりうる。
新しいエミッタの半導体材料は、一般にはLEDや太陽電池に使用されている。研究チームは、シリコンウェハ上にナノワイヤを成長させた。その技術はシリコンベースであるので、エミッタを大規模に製造するインフラストラクチャはすでに存在する。シリコンは、現代のエレクトロニクスの基盤となっている。
Bhattacharya氏は「実用的な電気注入シングルフォトンエミッタへの道を開いたと言う点でこれは大きな前進である」とコメントしている。
この新技術の成功への鍵は、サイズとコンパクトであること。Bhattacharya氏によると、ナノワイヤ径を非常に小さくし、微小部分の組成を変えることで量子ドットが実現した。
ミシガン大学のエミッタは、光ではなく電気を注入する。この点は、実用化のためのもう1つの側面。放出する個々のフォトンは、同等の直線偏向となっている。偏向は、光ビームの電界の方向。ほとんどの他のシングルフォトンエミッタは、ランダム偏向のフォトンを放出する。
「したがって、半分は1つの偏向で、他の半分は別の偏向となる。量子暗号メッセージでは、それにエンコードしようとすると、フォトンの半分しか使えないことになる。われわれのデバイスでは、ほとんど全てのフォトンを使うことができる」(Bhattacharya氏は)。
このデバイスは、極低温で動作するものだが、研究チームは室温付近で動作するデバイスの開発にとりかかっている。
(詳細は、Nature: "Electrically-driven polarized single-photon emission from an InGaN quantum dot in a GaN nanowire."/ www.umich.edu)