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ペンシルバニア大学、バルクシリコンで発光
April 5, 2013, Philadelphia--ペンシルバニア大学の研究チームは、バルクシリコンを用いて初めてブロードな可視光を発光させ、電子と光の両方のコンポーネントを持つデバイスを利用する可能性に道を開いた。
ある半導体は、エネルギーを放出すると発光する。熱の代わりに、直接フォトンを生成する。この現象は一般的であり、発光ダイオード(LED)で使用されている。LEDは、交通信号、新しいタイプの電球、コンピュータディスプレイ、その他の電子デバイスやオプトエレクトロニックデバイスなど至る所で見られる。所望のフォトニック特性を得ることは、適切な半導体材料を見つけることを意味する場合が多い。Ritesh Agarwal助教授の研究グループは、硫化カドミウムナノワイヤから史上初の全光スイッチを作製したグループ。
半導体材料、特にシリコンは、現在のエレクトロニクスとコンピューティングのバックボーンを形成するが、残念ながらシリコンは、特に光のエミッタとしては劣っている。シリコンは、エネルギーをもらうとそれを熱に変換する半導体材料のグループに属している。このことが、電子とフォトニック回路を集積することを困難にしている。所望のフォトニック特性を持つ材料、硫化カドミウムなどは、傾向として、逆に電気特性が劣っており、シリコンベースの電子デバイスと相性がよくない。
「問題は、電子デバイスがシリコンでできており、フォトニックデバイスが一般にはシリコンでできていないことにある。シリコンは発光しない。発光する材料は、電子デバイスにするには必ずしも最良の材料ではない」とAgarwal氏は言う。
エレクトロニクス産業の材料としてシリコンが定着しているので、シリコンをフォトニック回路に集積してその光特性を拡大すると、消費者レベルのアプリケーションがより便利になる。
「これまでは、他の材料をシリコンに添加してこの問題を解決しようとしたが、発光は長波の方に振れた。そのため、可視ではなく、非常に効率が悪く、その電子特性の劣化を招く」とAgarwal氏は指摘する。「別のアプローチは、直径5nm程度の非常に小さなシリコンデバイスを造ること。そのサイズで量子閉じ込め効果が得られ、発光するが、そのサイズでは電気的接続が、現状では実用的ではない。また伝導性も非常に低い」。
基本的な「バルクシリコン」を発光させるために、Agarwal氏の研究チームは、プラズモニックキャビティで以前に行った研究成果を利用した。その初期の成果では、研究チームは硫化カドミウムナノワイヤを先ず二酸化ケイ素レイヤ、つまりガラスに包み、次に銀のレイヤに包んだ。シルバーコーティングは、表面プラズモンをサポートする。表面プラズモンは、振動する金属電子と光を組み合わせた波である。表面プラズモンは、二酸化ケイ素と銀(シルバー)のレイヤが合わさった面に強く閉じ込められる。一定のナノワイヤサイズで、その銀のコーティングが共振のポケットを形成し、閉じ込めの強い電磁界、つまり光がナノ構造の中に形成される。
通常、励起後に半導体はまず冷却されてエネルギーを熱として放出し、次に基底状態にもどり、最終的にエネルギーを光として放出する。ペンシルバニア大学の研究チームの半導体ナノワイヤはプラズモンナノキャビティと結合しているので、高いエネルギー励起状態からいきなり基底状態に戻る。放熱の冷却周期を完全に跳び越してしまう。この超高速放出時間により、他の方法であれば熱を放出するシリコンのような半導体から光を生成する可能性が拓ける。
「もしキャリをただちに再結合させることができると、シリコンを発光させることができる」とAgarwal氏は言う。
最新の成果では、研究グループはピュアシリコンナノワイヤを同じように包んだ。最初はガラスのコーティング、次の銀のコーティング。この場合、研究チームが先にガラスコートのシリコンを別のガラス板の上にマウントしたので、銀はワイヤの回りを完全に包まなかった。ワイヤの下にねじ込んだが、それとガラス基板の間に入らず、銀コーティングはギリシャ文字のΩのような形になった。だが、まだプラズモンキャビティとして機能していた。
よく見ると、Ωの下がトランスペアレントになっていることから研究者たちはレーザでエネルギーを半導体に供給することができ、そのときシリコンが発光していることが観察できた。
シリコンナノワイヤが、ブルーレーザの波長に相当するエネルギーレベルに励起されたとしても、可視光全域に及ぶ白色光を生成する。このことは、フォトニックデバイスあるいはオプトエレクトリックデバイスにおける動作が広い帯域となりうることを示唆している。今後は、このシリコンナノワイヤを電気的に励起できるようにする必要がある。
「シリコン自体を発光させることができれば、チップ上に外部の光源を置く必要がなくなる。シリコンを電気的に励起して同じ効果が得られると考えており、これは直径20~100nmのナノワイヤでできるので、現在のエレクトロニクスと長さ的に非常に相性がよい」とAgarwal氏はコメントしている。
(詳細は、Nature Photonics/www.upenn.edu)
ある半導体は、エネルギーを放出すると発光する。熱の代わりに、直接フォトンを生成する。この現象は一般的であり、発光ダイオード(LED)で使用されている。LEDは、交通信号、新しいタイプの電球、コンピュータディスプレイ、その他の電子デバイスやオプトエレクトロニックデバイスなど至る所で見られる。所望のフォトニック特性を得ることは、適切な半導体材料を見つけることを意味する場合が多い。Ritesh Agarwal助教授の研究グループは、硫化カドミウムナノワイヤから史上初の全光スイッチを作製したグループ。
半導体材料、特にシリコンは、現在のエレクトロニクスとコンピューティングのバックボーンを形成するが、残念ながらシリコンは、特に光のエミッタとしては劣っている。シリコンは、エネルギーをもらうとそれを熱に変換する半導体材料のグループに属している。このことが、電子とフォトニック回路を集積することを困難にしている。所望のフォトニック特性を持つ材料、硫化カドミウムなどは、傾向として、逆に電気特性が劣っており、シリコンベースの電子デバイスと相性がよくない。
「問題は、電子デバイスがシリコンでできており、フォトニックデバイスが一般にはシリコンでできていないことにある。シリコンは発光しない。発光する材料は、電子デバイスにするには必ずしも最良の材料ではない」とAgarwal氏は言う。
エレクトロニクス産業の材料としてシリコンが定着しているので、シリコンをフォトニック回路に集積してその光特性を拡大すると、消費者レベルのアプリケーションがより便利になる。
「これまでは、他の材料をシリコンに添加してこの問題を解決しようとしたが、発光は長波の方に振れた。そのため、可視ではなく、非常に効率が悪く、その電子特性の劣化を招く」とAgarwal氏は指摘する。「別のアプローチは、直径5nm程度の非常に小さなシリコンデバイスを造ること。そのサイズで量子閉じ込め効果が得られ、発光するが、そのサイズでは電気的接続が、現状では実用的ではない。また伝導性も非常に低い」。
基本的な「バルクシリコン」を発光させるために、Agarwal氏の研究チームは、プラズモニックキャビティで以前に行った研究成果を利用した。その初期の成果では、研究チームは硫化カドミウムナノワイヤを先ず二酸化ケイ素レイヤ、つまりガラスに包み、次に銀のレイヤに包んだ。シルバーコーティングは、表面プラズモンをサポートする。表面プラズモンは、振動する金属電子と光を組み合わせた波である。表面プラズモンは、二酸化ケイ素と銀(シルバー)のレイヤが合わさった面に強く閉じ込められる。一定のナノワイヤサイズで、その銀のコーティングが共振のポケットを形成し、閉じ込めの強い電磁界、つまり光がナノ構造の中に形成される。
通常、励起後に半導体はまず冷却されてエネルギーを熱として放出し、次に基底状態にもどり、最終的にエネルギーを光として放出する。ペンシルバニア大学の研究チームの半導体ナノワイヤはプラズモンナノキャビティと結合しているので、高いエネルギー励起状態からいきなり基底状態に戻る。放熱の冷却周期を完全に跳び越してしまう。この超高速放出時間により、他の方法であれば熱を放出するシリコンのような半導体から光を生成する可能性が拓ける。
「もしキャリをただちに再結合させることができると、シリコンを発光させることができる」とAgarwal氏は言う。
最新の成果では、研究グループはピュアシリコンナノワイヤを同じように包んだ。最初はガラスのコーティング、次の銀のコーティング。この場合、研究チームが先にガラスコートのシリコンを別のガラス板の上にマウントしたので、銀はワイヤの回りを完全に包まなかった。ワイヤの下にねじ込んだが、それとガラス基板の間に入らず、銀コーティングはギリシャ文字のΩのような形になった。だが、まだプラズモンキャビティとして機能していた。
よく見ると、Ωの下がトランスペアレントになっていることから研究者たちはレーザでエネルギーを半導体に供給することができ、そのときシリコンが発光していることが観察できた。
シリコンナノワイヤが、ブルーレーザの波長に相当するエネルギーレベルに励起されたとしても、可視光全域に及ぶ白色光を生成する。このことは、フォトニックデバイスあるいはオプトエレクトリックデバイスにおける動作が広い帯域となりうることを示唆している。今後は、このシリコンナノワイヤを電気的に励起できるようにする必要がある。
「シリコン自体を発光させることができれば、チップ上に外部の光源を置く必要がなくなる。シリコンを電気的に励起して同じ効果が得られると考えており、これは直径20~100nmのナノワイヤでできるので、現在のエレクトロニクスと長さ的に非常に相性がよい」とAgarwal氏はコメントしている。
(詳細は、Nature Photonics/www.upenn.edu)