Laser Focus World JAPAN　レーザーフォーカスワールドジャパン

March 15, 2013, 東京--富士通研究所と富士通研究開発中心有限公司は、汎用的な10Gbps用の部品で100Gbpsの高速通信を実現する光伝送技術を世界で初めて開発した。
従来、データの伝送速度を向上するためには高速化に対応した部品が必要となり、汎用的な部品を用いることができなかった。また、これまでの単純な変復調方式を用いた伝送方式では高速化に限界があった。今回、デジタル信号処理を用いたDMT(Discrete Multi-Tone)変復調方式を適用することで汎用的な10Gbps用の部品で1chあたり100Gbpsの伝送を実現した。
同技術を4chs構成の光送受信器に適用することで、次世代データセンタでの適用が期待されている400Gbps Ethernet(400GbE)用トランシーバの実現が可能となり、クラウドサービスを支えるデータセンタの処理能力の向上（データ転送の高速化）が期待される。
近年、クラウドコンピューティング、クラウドサービスの普及に伴い、データセンタにおいてもデータ処理能力やデータ伝送速度の向上がより一層求められている。データ伝送に使用される光送受信器は、現在4chsの構成で100Gbpsを伝送するトランシーバが実用化されているが、次世代データセンタ向けには400GbE用のトランシーバの実現が期待されている。
データの伝送速度を向上するためには送信回路や受信回路を高速化する必要があるが、従来技術では、高速化に対応した電子部品、光部品が必要となり、汎用的な部品を用いることができない。また、光信号のオン/オフをデジタル信号の1/0に対応させる単純な変復調方式を用いているため高速化には限界がある。
今回、デジタル信号処理を用いたDMT変復調方式を適用することで、汎用的な10Gbps用の直接変調レーザー部品で1chあたり100Gbpsの伝送を実現した。開発した技術の特長は以下の通り。
・DMT変復調方式: xDSLなどで使用されているDMT変復調方式を、世界で初めて100Gbps超の光通信に適用。DMT技術はデータを多数のサブキャリア(搬送波)に分割し、それぞれのサブキャリアに多値変調を用いることで高速伝送を実現するという特長がある。各サブキャリアのパワー、多値度の最適化を実現するために、システムを立ち上げる際に光送受信器間で受信状況の確認を行い、送受信器および回線の特性に合わせて各サブキャリアに割り当てるパワーおよび多値度の最適化を実施するアルゴリズムを開発した。
・既存汎用部品のすり合わせ技術: 既存の汎用部品を用いて、DMT変復調方式を実現する技術を開発。例えば、特性的に十分な線形性が保てないような部品であっても、あらかじめその特性を把握し補正しながら利用することで線形性があるのと同じように使いこなすことを実現した。
この開発技術を4ch構成の光送受信器に適用することで、次世代データセンタでの適用が期待されている400GbE用トランシーバの実現が可能となる。