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理研、XFELのパルス幅を1京分の1秒以下に圧縮する手法を考案
February 15, 2013, 播磨--理化学研究所は、X線自由電子レーザ(XFEL)施設が発振するX線レーザのパルス幅を圧縮する新たな手法を考案した。
この手法を理研のXFEL施設「SACLA」に適用してシミュレーションした結果、波長1.24Å(1Å=10-10m=0.1nm)、パルス幅53アト秒(as:1asは10-18秒=100京分の1秒)、ピークパワー6.6テラワット(TW:1TWは1012W)という超短パルス・超高強度のX線レーザ発振が可能であることを確認した。これは、理研放射光科学総合研究センター(石川哲也センター長)光源物理チームの田中隆次チームリーダーによる成果。
パルス圧縮とは、回折格子などの光学機器を利用して可視光や赤外線領域のレーザのパルス幅を圧縮し、そのピークパワーを増強する手法。理論的なパルス幅の限界は、波長に相当する距離だけ光が進むのに要する時間となり、波長が短くなるほどパルス幅も圧縮できる。現在、赤外線領域(波長8,000Å)では、そのパルス幅は限界に近い数フェムト秒(fs:1fsは10-15秒)まで圧縮されている。一方X線領域(波長数Å以下)では、パルス圧縮に応用可能な光学機器が存在しない。このため、現在稼働中のXFEL施設で発振しているX線レーザは、赤外線レーザよりも波長が4桁ほど短いにもかかわらず、パルス幅は赤外線レーザと同等の数フェムト秒にとどまっている。
研究チームは、XFELのパルス圧縮を実現するため、くし状の電流分布を持つ電子ビームで1個のレーザパルスだけを効率的に増幅する手法を考案し、SACLAに適用した場合のレーザ性能についてシミュレーションした。その結果、適用前の約300倍という高い圧縮率が実現可能であることを見いだした。
今回考案した手法を実用化して超短パルス・超高強度のX線レーザを利用できるようになると、従来観測できた超高速運動よりもさらに速い、例えば、化学反応の過程で生ずる原子内の電子運動などをリアルタイムかつ高精度で計測することが可能になる。こうした現象の本質を理解できると、これまでとは全く異なるコンセプトの機能性材料や創薬への展開が期待できる。さらにこの手法は、理論限界である究極のX線レーザ、つまりX線の波長に相当するパルス幅(約0.3アト秒)を持つX線レーザ実現に向けた第一歩となる。
(詳細は、米国の科学雑誌『Physical Review Letters』オンライン版)
この手法を理研のXFEL施設「SACLA」に適用してシミュレーションした結果、波長1.24Å(1Å=10-10m=0.1nm)、パルス幅53アト秒(as:1asは10-18秒=100京分の1秒)、ピークパワー6.6テラワット(TW:1TWは1012W)という超短パルス・超高強度のX線レーザ発振が可能であることを確認した。これは、理研放射光科学総合研究センター(石川哲也センター長)光源物理チームの田中隆次チームリーダーによる成果。
パルス圧縮とは、回折格子などの光学機器を利用して可視光や赤外線領域のレーザのパルス幅を圧縮し、そのピークパワーを増強する手法。理論的なパルス幅の限界は、波長に相当する距離だけ光が進むのに要する時間となり、波長が短くなるほどパルス幅も圧縮できる。現在、赤外線領域(波長8,000Å)では、そのパルス幅は限界に近い数フェムト秒(fs:1fsは10-15秒)まで圧縮されている。一方X線領域(波長数Å以下)では、パルス圧縮に応用可能な光学機器が存在しない。このため、現在稼働中のXFEL施設で発振しているX線レーザは、赤外線レーザよりも波長が4桁ほど短いにもかかわらず、パルス幅は赤外線レーザと同等の数フェムト秒にとどまっている。
研究チームは、XFELのパルス圧縮を実現するため、くし状の電流分布を持つ電子ビームで1個のレーザパルスだけを効率的に増幅する手法を考案し、SACLAに適用した場合のレーザ性能についてシミュレーションした。その結果、適用前の約300倍という高い圧縮率が実現可能であることを見いだした。
今回考案した手法を実用化して超短パルス・超高強度のX線レーザを利用できるようになると、従来観測できた超高速運動よりもさらに速い、例えば、化学反応の過程で生ずる原子内の電子運動などをリアルタイムかつ高精度で計測することが可能になる。こうした現象の本質を理解できると、これまでとは全く異なるコンセプトの機能性材料や創薬への展開が期待できる。さらにこの手法は、理論限界である究極のX線レーザ、つまりX線の波長に相当するパルス幅(約0.3アト秒)を持つX線レーザ実現に向けた第一歩となる。
(詳細は、米国の科学雑誌『Physical Review Letters』オンライン版)