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KIT、オンチップ・シングルフォトンディテクタを開発

January 28, 2013, Karlsruhe--カールスルーエ工科大学(KIT)の物理学者、Dr. Wolfram Perniceは、イェール大学、ボストン大学、モスクワ教育大学と共同で、シングルフォトンディテクタをナノフォトニックチップに集積することで、決定的に重要なブレイクスルーを達成した。
このディテクタは、極めて高い単一フォトン検出効率、高い時間分解能をあわせ持ち、エラーレートも極めて低い。
超高速、効率的、高信頼のシングルフォトンディテクタは、フォトニクスや量子通信で最も求められていたコンポーネントであるが、まだ実用的に使える成熟レベルに達していない。
高信頼のシングルフォトン検出なしには、光データ通信、量子コンピューティングにおける最新の成果を実際に利用することはできない。これはあたかも、従来のコンピュータでADC(analog-digital converter)なしに、印可した電圧が0か1かを決定しようとしているようなものだ。過去数年に開発されたシングルフォトンディテクタのモデルは多くあるが、これまでのところ、満足のいくパフォーマンスは得られていない。
DFG CFN(Center of Functional Nanostructures)における「集積量子フォトニクス」(Integrated Quantum Photonics)プロジェクトで開発されたプロトタイプに複数の新しいアイデアや先進的な開発が投入されている。この新しいシングルフォトンディテクタは、通信波長範囲でテストされ、これまで達成できなかった検出効率91%を達成している。
同ディテクタは、超電導ナノワイヤをナノフォトニックチップ上に直接作製して実現した。この形状は、光を通すチューブのようなもので、その回りに超伝導状態のワイヤを巻き付けてあるがそれ自体は電気的感度がない。ナノメートルサイズのワイヤは、ニオブ窒素でできており、導波路を伝搬してくるフォトンを吸収する。フォトンが吸収されると、超電導性が失われ、電気信号として検出される。チューブが長ければ長いほど、検出確率は高くなる。必要な長さは、マイクロメートルの範囲。
このディテクタの特長はチップに組み込めること、これによりディテクタは無作為的に複製できる。これまでに作製されたシングルフォトンディテクタは独立していて、光ファイバでチップに接続していた。このような構成では、フォトンがファイバ接続で失われたり、他の方法で吸収されたりする。今回のシリコンフォトニック回路完全組込のディテクタでは、このような損失チャネルは存在しない。高効率の検出に加えて、このディテクタではダークカウントレートも極めて低い。ダークカウントは、フォトンの検出誤りによって生ずる。例えば、自然放出、アルファ粒子、スプリアスフィールドなどが原因。新しい設計では、タイミングジッタは18ps。この新しいソリューションでは、シングルチップにこのディテクタを数100個集積することもできる。これは、光量子コンピュータで将来的に利用するための基本的な前提条件となる。
この研究で設計されたデイテク太は通信波長帯で動作するものだが、同じディテクタアーキテクチャは可視光域の波長でも利用可能である。
(詳細は、www.kit.edu)

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