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MITの研究者、熱を光のように操作

January 17, 2013, Cambridge--MITの研究者が熱を操作する新しい方法となる技術を開発した。これにより、レンズやミラーによって光が操作されるように熱もコントロールできるようになる。
このアプローチは、ナノ構造の半導体アロイ結晶からなる特注材料でできている。熱は物質の振動、技術的には材料原子の格子振動であり、音と同じだ。そのような振動はフォノンの流れと見なすこともできる。一種の「仮想粒子」、光を運ぶフォトンと類比的だ。この新しいアプローチは、最近開発が進んでいる、光の通路を制御できるフォトニック結晶と似ている。フォトニック結晶は、音に対しても同じことができる。
MITの材料科学・工学部の研究者、Martin Maldovan氏によると、この材料の微小なギャップ空間を熱フォノンの波長に合うように調整する。熱は、音とは振動周波数が違う。音波はkHz範囲までの低い周波数だが、熱はTHzまでの高い周波数で振動する。
音を操作するために既に開発されている技術を適用するために、熱フォノンの周波数を下げること、音の周波数に近づけることが先ずは必要だった。Maldovan氏は、これを「ハイパーソニックヒート」と表現する。
「音のフォノンは数km飛ぶ。離れた位置から音が聞こえるのはこのためだ。しかし、熱のフォノンの飛ぶ距離は数ナノメートル(nm)だ。例えTHz周波数に反応する耳を持っていても聞こえない理由がここにある」。
音は単一周波数だが、熱の周波数範囲は広い。「最初にやったことは、熱の周波数の数を減らすこと、つまり熱と音の境界の周波数まで下げることだ。特殊サイズで、ゲルマニウムのナノ粒子を含むシリコンアロイを作ることで周波数を下げることに成功した」と同氏は説明している。
周波数の範囲を狭くすることは、その材料の薄膜を作ることで達成した。狙いは、境界付近でフォノンの散乱を起こすことだった。これによって、ほとんどの熱フォノンを比較的狭い周波数「ウインドウ」内に集中することができた。
この技術を応用すると、全熱流の40%以上が100~300GHzのハイパーソニック範囲に集中し、ほとんどのフォノンは、全方位に広がらないで、狭いビームに整列する。
結果として、狭い周波数のフォノンビームがフォノン結晶を利用して操作できる。これは音フォノン制御用に開発されたものと同じである。これらの結晶は現在、代わりに熱をコントロールするために用いられているので、Maldovan氏は、新しい材料カテゴリ、「熱結晶(thermocrystals)」と呼んでいる。
同氏によると、このサーモクリスタルのアプリケーション範囲は広い。例えば改良版熱電デバイス、これは熱の違いを電気に変える。そのようなデバイスは、熱の流れを厳しく制御しながら、電気を自由に伝送する。これはサーモクリスタルが効果的に行うことができる仕事である、とMaldovan氏は言う。
従来の材料のほとんどは、熱を全方向に伝える、池に投げ込んだ小石から広がるさざ波のようなものだ。サーモクリスタルは、そうしたさざ波を一方向に伝えることができる。このクリスタルを使って熱ダイオードを作ることもできる。熱が片方向にだけ伝わり、逆方向には伝わらない材料。そのような一方通行の熱流は、気候の寒暖の中で、エネルギー効率のよい建物に使える。
(詳細は、www.mit.edu)

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