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欧米の大学による共同研究で新たな量子ビット制御法を実証

December 26, 2012, Coventry--新たな研究で、ビスマスの電子と原子核を量子コンピュータのキュービット(qubits)として使う方法が実証された。
この発見は、実用的な量子コンピューティング実現への重要な一歩と評価されており、ETHチューリッヒのウォーウィック大学(University of Warwick)と米国サンディア国立研究所(Sandia National Labs)の共同研究をベースにしている。
現在の通常のコンピュータの情報はビット(0s/1s)で蓄積される。量子ビットはこれとは違い、各ビットが同時に1と0として働くので、ある問題を解く能力が遙かに強力になる。
研究者は電子のスピンの方向に影響を与えることで、そうした状態を創り出そうとしているが、このアプローチは簡単ではなかった。
ウォーウィック大学物理学部Dr. Gavin Morleyは、「シリコン結晶におけるビスマス原子は量子ビットとしては素晴らしいもので、個々のビスマス原子がスペアの電子を持っており、これが磁石の影響により“スピン”を持つ」と指摘している。
電子を磁石に入れると、磁場で整列しコンパスの針のように振る舞う。マイクロ波を用いると電子が指す方向を制御できる。マイクロ波によって電子の方向を変えることができるので、この“上向き(↑)と下向き(↓)”の方向が量子ビットでは“1と0”となる。
ただ、この電子は近傍の原子の干渉を受けやすく、これは制御困難。時間が経てば経つほど電子は干渉を受けるようになり、使いものにならなくなる。
「現在、この電子は固有のスピンを持つビスマスの原子核に結合しており、そのコンパスの針は小さい。それを追加の量子ビットとして使い、我々の電子と同時に方向を変えることで利用できるようになると考えている。この小さなコンパスの針は制御もできるが、小さいために制御に時間がかかるので、マイクロ波の代わりに電磁波(電波)を使う必要がある。また、良い点は、応答が遅いのでビスマス原子核の小さなコンパスの針が、我々の電子の大きなコンパスの針と比較して、近傍の不良原子による干渉を受けにくくなることだ。残念ながらビスマス原子核の制御時には、この不良原子はわれわれの電子に干渉してくる」。
とは言え、磁場が十分に小さくできると電子と原子核のハイブリッドができる。ETHチューリッヒでの新しい実験は、ハイブリッド化によりマイクロ波を用いて両方のコンパスの針の方向を変えられることを示した。
Dr. Morleyは、それを病院で見られるような磁気共鳴と比較している。同氏は、「MRIは、体内の原子核スピンを制御することで機能する。われわれは電子と原子核スピンのハイブリッド化を行い、この方が制御が容易であることが分かった」と話している。
「これは、量子ビットの協調動作を遅くしたり速くしたりする、簡単で新しい方法だ。十分に使える量子ビットを持つ実用的なコンピュータ実現までには多くの課題があるが、コンピュータ設計の一環としてのこのハイブリッド化で、一歩前進したと言える」とDr. Morleyはコメントしている。
(詳細は、Nature Materials)

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