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NII、スピン-光子量子もつれ生成実験に成功
November 21, 2012, 東京--情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)の山本喜久教授とその研究チームは、情報通信研究機構(NICT)から委託を受けた研究課題「量子もつれ中継技術の研究開発」において、半導体量子ドット中の単一電子スピンと通信波長帯の単一光子の間の量子もつれ状態の生成に成功した。
量子中継技術は、長距離の量子暗号やより高度な量子通信網の実現に向けて不可欠な技術。今回の成果は、高速動作が可能な半導体素子と長距離伝送が可能な光ファイバ通信路からなる量子中継システムの実現へ道を拓く。
NII研究チームは、半導体量子ドット中の電子スピンを量子メモリとして用いる手法に着目し、これまでに、量子ドットからの単一光子の発生、識別できない同一光子のベル測定、量子ドット中の電子スピンの超高速制御、電子スピンデコヒーレンスの大幅抑制などの成果を挙げてきた。
今回、NII研究チームは、量子ドットから発生した波長910nmの単一光子を波長1.56μmの単一光子に波長変換した上で、その光を超高速検出する技術を開発。その結果、電子スピンと光子の間の量子もつれを生成することに成功した。忠実度(フィデリティ)と呼ばれる、量子もつれの質を測る性能指数は92%に達し、固体系で実現されたスピン-光子量子もつれで世界最高値を達成した。また、光子のパルス幅の600ピコ秒(ps)は、全系中で最短であり、高速動作を可能とする。
光半導体素子を用いることで、高速動作と集積化が容易になることに加え、波長1.56μmの光子を用いることで、既存の低損失光ファイバ通信網を利用した量子中継システムを実現する道が拓かれたことになる。
今後は、遠隔2地点にある2つの量子ドットからそれぞれ識別できない同一の単一光子を発生させ、それらを同時検出することで、量子メモリ(スピン)間に量子もつれ状態を形成する量子もつれ配信実現へ繋げていくことが予定されている。
量子中継技術は、長距離の量子暗号やより高度な量子通信網の実現に向けて不可欠な技術。今回の成果は、高速動作が可能な半導体素子と長距離伝送が可能な光ファイバ通信路からなる量子中継システムの実現へ道を拓く。
NII研究チームは、半導体量子ドット中の電子スピンを量子メモリとして用いる手法に着目し、これまでに、量子ドットからの単一光子の発生、識別できない同一光子のベル測定、量子ドット中の電子スピンの超高速制御、電子スピンデコヒーレンスの大幅抑制などの成果を挙げてきた。
今回、NII研究チームは、量子ドットから発生した波長910nmの単一光子を波長1.56μmの単一光子に波長変換した上で、その光を超高速検出する技術を開発。その結果、電子スピンと光子の間の量子もつれを生成することに成功した。忠実度(フィデリティ)と呼ばれる、量子もつれの質を測る性能指数は92%に達し、固体系で実現されたスピン-光子量子もつれで世界最高値を達成した。また、光子のパルス幅の600ピコ秒(ps)は、全系中で最短であり、高速動作を可能とする。
光半導体素子を用いることで、高速動作と集積化が容易になることに加え、波長1.56μmの光子を用いることで、既存の低損失光ファイバ通信網を利用した量子中継システムを実現する道が拓かれたことになる。
今後は、遠隔2地点にある2つの量子ドットからそれぞれ識別できない同一の単一光子を発生させ、それらを同時検出することで、量子メモリ(スピン)間に量子もつれ状態を形成する量子もつれ配信実現へ繋げていくことが予定されている。