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人の目に近いポリマ人工レンズを開発

November 20, 2012, Washington--ケースウエスタンリザーブ大学(Case Western Reserve University)の研究チームは、人間の目の自然のレンズとほぼ同等の人工レンズを作成した。
この画期的なレンズは、数千のナノスケールポリマ層からできており、移植可能なレンズで自然な機能を実現し、損傷をうけた、あるいは病気の眼の置き換えとなったり、市販品となったりする可能性がある。また、優れた地上監視技術、空中監視技術にも発展する可能性がある。
この新しいレンズの基本技術はGRIN(gradient refractive index)オプティクスで、GRINでは光がレンズを透過する際に角度を変えることで光が曲がり屈折する。これは、望遠鏡や顕微鏡の従来レンズとは異なる。従来レンズでは、表面形状、単一屈折率により光を曲げる。
オハイオのCase Western Reserve大学からスピンオフしたポリマプラス(PolymerPlus)社長/ポリマ研究者、Michael Ponting氏は、「人の目はGRINレンズだ」と言う。「光が人の目のレンズの前から後に透過するとき、光線は角度を変えることで屈折する。これはきわめて効率的な光路制御法であり、複雑なオプティクスは不要になる。われわれは、これを模倣しようとした」。
最初、他の研究者が老眼のためのレンズ設計を行ったが、勾配屈折を置き換える技術は存在しなかった。
研究チームの新しいアプローチは、自然の実例に倣うことだった。何千ものナノスケールレイヤ(層)をスタックしてレンズを作製。各レイヤは、わずかに光特性が違っており、これにより屈折率が徐々に変化するようにして、ポリマの屈折率特性を調整した。
レンズの層を作るために研究チームは多層膜共押出技術を用いた。この製法により、各レイヤが固有の屈折率を持ち、それらを貼り合わせてGRINオプティクスとすることができた。
また、固有の屈折率を持つナノレイヤフィルムを任意に組み合わせて自由にスタックすることもできる。これは、他の製法ではできなかったGRINオプティクスの製造を可能にする重要技術であると言える。
GRINオプティクスは、微小な医療イメージング機器や移植可能なレンズなどに用途を見出す可能性がある。「人の目のレンズのコピーは、光学的埋込に使われる現在の技術の改善に向けて、その能力、最終的な生体適合性、可塑性材料システムを実証する最初のステップである」とPonting氏はコメントしている。
白内障治療に用いてるような、現世代の眼球内代用レンズは、光の焦点を正確な処方に合わせるのにその形状を用いており、コンタクトレンズやメガネと同じだ。残念ながら、眼球内レンズは、光の屈折を徐々に変えていくことはできないので、自然のレンズと同じ性能を実現することはない。この単一屈折代用レンズは、収差や他の不要な光学効果を生み出す。
GRINの追加能力により、光学システムのコンポーネントを少なくすることもできる。この点は、市販の視覚製品、地上および空中の軍事監視製品にとって重要になる。
この技術はすでに、商用化に向けて大学の研究室からポリマプラス社に移転している。「試作と少量バッチ製造設備ができており、ナノレイヤGRIN技術の商用機器向けアプリケーションで早期導入に向けて動き出している」とPonting氏は話している。

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