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発育中胎児の心臓の3D応力マップで心臓欠陥形成を解明

November 13, 2012, Washington--人間の胎児が発育するにともない、その心臓は身体の成長要求とペースを合わせねばならない。この大半は遺伝的設計図に制御されているが、胎児の心臓は血液を送り出す強い圧力(ストレス)に応じても成熟する。
研究チームは、胎児の心臓を流れる血液によって生ずる圧力を初めて3D画像化した。この技術によって、心臓欠陥がどのように、なぜ生ずるかの手がかりがえられる、と研究チームは考えている。
米国クリーブランド(Cleveland)のケース・ウェスタン・リザーブ大学(Case Western Reserve University)、生体工学助教授、Andrew M. Rollins氏が主導する研究チームは、剪断応力として知られる心臓内の特殊なタイプの応力に注目している。発育中の心臓では、心臓自身の心内膜細胞を血球細胞が勢いよく通過する時に剪断応力が生ずる。通常、そのような剪断応力は、心臓発育に関わる細胞過程の制御、調整に役立つものだが、心拍のわずかな異常でも、血流パタンを変え、発育上の力を変え、異常弁形成のような先天性心臓欠陥を引き起こす。
Rollins氏によると、これまでの全ての剪断応力マッピングは2Dであった。「このような初期の段階では、胎児の心臓の3D形状は時間毎に変化しており、発育にともなって心臓の形状は捻れたり回転したりする。したがって、2D映像では真の近似は得られない」。
研究チームは、ドップラーOCT技術を改良することで新しいイメージング法を開発した。OCT(optical coherence tomography)では、赤外ビームが組織を照射し、変化する深度から来る光のエコー(反射)を用いて画像を形成する。「レーダーや超音波のようなものだが、ここでは赤外光を用いて微小部分を高解像度で画像化する」(Rollins氏)。この技術は、血管内の画像化に用いられており、通常、網膜検査に眼科医が用いている。
「われわれはこの技術を使って、機能あるいは機能障害が正常な心臓の発育、心臓欠陥の進行にどのようにつながっていくのかを知ることができる。正常な発育、異常な発育を理解することは、こうした欠陥を防ぎ、処置するために極めて重要である」とRollins氏は説明している。
研究室の実験では、研究チームはウズラの胎児の心臓の発育で心臓の構造と血流を直接計測した。そのデータを用いて4D画像(基本的には3D動画)を作成。「動画は、強いズレの箇所が将来の弁形成箇所に対応することを示した。現在、弁の発育をアルコール暴露することで生ずる異常なズレ応力効果を調べている」。
研究チームは、この予備動物実験から得た結果により、同技術が人間に適用できる方法となるように期待している。究極目標は、初期の介入により心臓の発育を正常な発育に戻せるかどうかを決められるような、医師が使えるツールを開発することにある。
(詳細、Biomedical Optics Express, Vol. 3, Issue 11, pp. 3022-3032 (2012))

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