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小糸製作所、新しい黄色蛍光体により高品質で自由度の高い白色LEDを開発
October 18, 2012, Tokyo--小糸製作所は、東京工業大学 細野秀雄教授の研究グループ、名古屋大学澤博教授の研究グループとの共同研究により、比重が従来のYAG系蛍光体よりも小さく、紫色領域の光を吸収して黄色光を放出する蛍光体材料の合成に成功した(図上)。同蛍光体で白色LED照明を作製することにより、設計の自由度が高まるとともに、より高品質な光を得られるようになる。また従来品に比べてコストを下げられる可能性がある。
小糸製作所が今回、合成したのは、酸化物ベースの「Cl_MS(クルムス)蛍光体」。組成式は(Ca1-xSrx)7(SiO3)6Cl2:Eu2+。
比重は従来白色LEDに使用されるYAG系黄色蛍光体の半分程度である。また発光中心である希土類元素ユーロピウム(Eu)以外は豊富な元素であることが特長。今回、紫色LEDを光源として、黄色のCl_MS蛍光体と青色蛍光体を組み合わせることにより白色LEDを作製した。一般に市販されている青色LEDと黄色蛍光体を組み合わせた白色LEDと比べて、色を均一にできる、まぶしくない、生産個体により色温度がばらつかずその調整も可能、照明範囲が広がるといったメリットがある。
これらの特長は、Cl_MS蛍光体を比重が同じ程度の青色蛍光体とともに、シリコーン樹脂中に均一に分散させることが可能になったことにより実現した。従来の白色LEDでは青色LEDと黄色蛍光体を組み合わせるが、青色LEDの指向性が高いことや蛍光体の比重が大きいことから、色むらのない発光部を作ることがむずかしい。そのためイエローリングと呼ばれる発光部周辺が黄色がかかる現象が生じるなどの問題があった(図中、左が従来の組み合わせ、右が新蛍光体を採用したもの)。また蛍光体の均一な分散が難しいことから製品ごとにばらつきが出るため、色温度ごとにチップを選別する手間があった。今回の新しい白色LEDでは、蛍光体を均一に分散させられるため、発光部を円錐状にするなど形状の自由度が高まった(図下)。形状によって場所による色むらが出にくく、樹脂全体が光源となるため照明角度範囲も広くなる。また発光部を大きくできることにより、従来の白色LEDよりも光源が目に入った時のまぶしさを低減でき、光を拡散させる部品を省略できる。まぶしさに関係する輝度は、明るさの指標である光束が同じ場合、従来品の10分の1以下に抑えられるという。
発光色はCl_MS蛍光体と青色蛍光体の比、またはCl_MS蛍光体中のCaとSrの比を変化させることにより調節できるという。開発した白色LEDのデータは色温度5500Kにおいて光束27lm、発光効率88lm/W、2700Kにおいて24lm、79lm/W、演色性はRa80以上。
現在は研究開発段階であるが、新蛍光体材料を安定的に作り出すことに成功しており、今後商品化の道を探る。コストに関しては、紫と従来の青色光源は同程度であり、発光部が大きくなることによりパッケージ材料が多くなるものの、色温度の選別が必要なくなるため、従来の白色LEDよりも下げることが可能だとしている。
小糸製作所は自動車用照明を中心とするメーカー。2007年にトヨタのレクサスLS600hのヘッドライトを設計し、世界初のLEDによるヘッドライトの量産を実現している。LED光源については日亜化学工業などと共同研究を行ってきた。今回の開発は小糸製作所独自のもの。
(図上)
(図中、左が従来の組み合わせ、右が新蛍光体を採用したもの)
(図下)
小糸製作所が今回、合成したのは、酸化物ベースの「Cl_MS(クルムス)蛍光体」。組成式は(Ca1-xSrx)7(SiO3)6Cl2:Eu2+。
比重は従来白色LEDに使用されるYAG系黄色蛍光体の半分程度である。また発光中心である希土類元素ユーロピウム(Eu)以外は豊富な元素であることが特長。今回、紫色LEDを光源として、黄色のCl_MS蛍光体と青色蛍光体を組み合わせることにより白色LEDを作製した。一般に市販されている青色LEDと黄色蛍光体を組み合わせた白色LEDと比べて、色を均一にできる、まぶしくない、生産個体により色温度がばらつかずその調整も可能、照明範囲が広がるといったメリットがある。
これらの特長は、Cl_MS蛍光体を比重が同じ程度の青色蛍光体とともに、シリコーン樹脂中に均一に分散させることが可能になったことにより実現した。従来の白色LEDでは青色LEDと黄色蛍光体を組み合わせるが、青色LEDの指向性が高いことや蛍光体の比重が大きいことから、色むらのない発光部を作ることがむずかしい。そのためイエローリングと呼ばれる発光部周辺が黄色がかかる現象が生じるなどの問題があった(図中、左が従来の組み合わせ、右が新蛍光体を採用したもの)。また蛍光体の均一な分散が難しいことから製品ごとにばらつきが出るため、色温度ごとにチップを選別する手間があった。今回の新しい白色LEDでは、蛍光体を均一に分散させられるため、発光部を円錐状にするなど形状の自由度が高まった(図下)。形状によって場所による色むらが出にくく、樹脂全体が光源となるため照明角度範囲も広くなる。また発光部を大きくできることにより、従来の白色LEDよりも光源が目に入った時のまぶしさを低減でき、光を拡散させる部品を省略できる。まぶしさに関係する輝度は、明るさの指標である光束が同じ場合、従来品の10分の1以下に抑えられるという。
発光色はCl_MS蛍光体と青色蛍光体の比、またはCl_MS蛍光体中のCaとSrの比を変化させることにより調節できるという。開発した白色LEDのデータは色温度5500Kにおいて光束27lm、発光効率88lm/W、2700Kにおいて24lm、79lm/W、演色性はRa80以上。
現在は研究開発段階であるが、新蛍光体材料を安定的に作り出すことに成功しており、今後商品化の道を探る。コストに関しては、紫と従来の青色光源は同程度であり、発光部が大きくなることによりパッケージ材料が多くなるものの、色温度の選別が必要なくなるため、従来の白色LEDよりも下げることが可能だとしている。
小糸製作所は自動車用照明を中心とするメーカー。2007年にトヨタのレクサスLS600hのヘッドライトを設計し、世界初のLEDによるヘッドライトの量産を実現している。LED光源については日亜化学工業などと共同研究を行ってきた。今回の開発は小糸製作所独自のもの。
(図上)
(図中、左が従来の組み合わせ、右が新蛍光体を採用したもの)
(図下)