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産総研と物材機構、グラフェンの新しい伝導制御技術を開発
September 26, 2012, つくば--産業技術総合研究所(産総研)と物質・材料研究機構(物材機構)の研究チームは、グラフェンの新しい電気伝導制御技術を開発した。
今回開発した技術は、グラフェンに対してヘリウムイオン顕微鏡を用いてヘリウムイオンビームを照射し、人為的に低密度の結晶欠陥を導入することによって、グラフェンの中の電子や正孔の動きをゲート電極に電圧を与えて変調可能にするもの。このような結晶欠陥の導入による伝導制御はこれまで理論的には予想されてきたが、実験的に室温でオン・オフ動作に至った例はなかった。今回開発した技術は、大面積ウェハにおいても既存の製造技術の枠内で導入が可能。
研究チームは、産総研ナノエレクトロニクス研究部門連携研究体グリーン・ナノエレクトロニクスセンター(GNC)、中払周特定集中研究専門員、ナノエレクトロニクス研究部門 小川真一 招聘研究員、ナノデバイスセンター、物質・材料研究機構(物材機構)国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(WPI-MANA)塚越一仁主任研究者で構成。
研究チームは、ヘリウムイオン顕微鏡を用いてグラフェン素子の中心部にヘリウムイオンビームを適量照射することにより、グラフェンの電気伝導状態を変化させた。この素子の不要な部分のグラフェンも、高い照射量のヘリウムイオンビームで絶縁化した。このグラフェンは、グラファイト結晶から単離し、シリコン基板上の二酸化シリコン絶縁膜表面に貼り付けられたものであり、電気特性評価用に電極が形成されている。
ヘリウムイオン照射の効果でグラフェンを流れる電流が急激に減少。このとき、ヘリウムイオン照射量に従って、適量に照射された領域のグラフェンに原子サイズの結晶欠陥が0.1 %から1 %程度の低密度で導入される。これらの低密度の欠陥の効果でグラフェンを流れる電流が抑制されるようになる。
これらの低密度欠陥の導入によって、グラフェンのフェルミ準位付近の状態密度の比較的低いエネルギーに、トランスポートギャップと呼ばれる状態が生じ、フェルミ準位がこのトランスポートギャップ内にある場合は電流が流れない。グラフェンとバックゲート電極の間に電圧を与えることで、グラフェンのフェルミ準位のエネルギーは増減できるため、バックゲートの電圧で電流を変調させることができる。このようにして機能化されたグラフェンにおいて、室温で約2桁のオン・オフ比を実現。結晶欠陥で機能化されたグラフェンにおいて、これまで室温でオン・オフ比が1桁を超えたことはなかったが、今回初めて室温で2桁以上のオン・オフ比を実現した。
この方法によるグラフェンの機能化は、広い面積のグラフェンのままで加工できることから、極細線の端制御が非常に難しいグラフェンナノリボン化よりも有望な技術となる可能性がある。また、通常のリソグラフィー技術と合わせれば、ウェハ全面へのイオン照射によるプロセスが可能であるため、従来のシリコンCMOS製造技術の枠内においても加工が可能。
研究チームは、トップゲート制御によるトランジスタ動作を実現し、さらに大面積ウェハによる素子試作を目指している。機能化されたグラフェンの電気特性、特に電流のオン・オフ比の向上や、電荷の移動度の向上のためにグラフェンの高品質化を実現するのが今後の目標。
今回開発した技術は、グラフェンに対してヘリウムイオン顕微鏡を用いてヘリウムイオンビームを照射し、人為的に低密度の結晶欠陥を導入することによって、グラフェンの中の電子や正孔の動きをゲート電極に電圧を与えて変調可能にするもの。このような結晶欠陥の導入による伝導制御はこれまで理論的には予想されてきたが、実験的に室温でオン・オフ動作に至った例はなかった。今回開発した技術は、大面積ウェハにおいても既存の製造技術の枠内で導入が可能。
研究チームは、産総研ナノエレクトロニクス研究部門連携研究体グリーン・ナノエレクトロニクスセンター(GNC)、中払周特定集中研究専門員、ナノエレクトロニクス研究部門 小川真一 招聘研究員、ナノデバイスセンター、物質・材料研究機構(物材機構)国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(WPI-MANA)塚越一仁主任研究者で構成。
研究チームは、ヘリウムイオン顕微鏡を用いてグラフェン素子の中心部にヘリウムイオンビームを適量照射することにより、グラフェンの電気伝導状態を変化させた。この素子の不要な部分のグラフェンも、高い照射量のヘリウムイオンビームで絶縁化した。このグラフェンは、グラファイト結晶から単離し、シリコン基板上の二酸化シリコン絶縁膜表面に貼り付けられたものであり、電気特性評価用に電極が形成されている。
ヘリウムイオン照射の効果でグラフェンを流れる電流が急激に減少。このとき、ヘリウムイオン照射量に従って、適量に照射された領域のグラフェンに原子サイズの結晶欠陥が0.1 %から1 %程度の低密度で導入される。これらの低密度の欠陥の効果でグラフェンを流れる電流が抑制されるようになる。
これらの低密度欠陥の導入によって、グラフェンのフェルミ準位付近の状態密度の比較的低いエネルギーに、トランスポートギャップと呼ばれる状態が生じ、フェルミ準位がこのトランスポートギャップ内にある場合は電流が流れない。グラフェンとバックゲート電極の間に電圧を与えることで、グラフェンのフェルミ準位のエネルギーは増減できるため、バックゲートの電圧で電流を変調させることができる。このようにして機能化されたグラフェンにおいて、室温で約2桁のオン・オフ比を実現。結晶欠陥で機能化されたグラフェンにおいて、これまで室温でオン・オフ比が1桁を超えたことはなかったが、今回初めて室温で2桁以上のオン・オフ比を実現した。
この方法によるグラフェンの機能化は、広い面積のグラフェンのままで加工できることから、極細線の端制御が非常に難しいグラフェンナノリボン化よりも有望な技術となる可能性がある。また、通常のリソグラフィー技術と合わせれば、ウェハ全面へのイオン照射によるプロセスが可能であるため、従来のシリコンCMOS製造技術の枠内においても加工が可能。
研究チームは、トップゲート制御によるトランジスタ動作を実現し、さらに大面積ウェハによる素子試作を目指している。機能化されたグラフェンの電気特性、特に電流のオン・オフ比の向上や、電荷の移動度の向上のためにグラフェンの高品質化を実現するのが今後の目標。