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NPLとICL、室温動作のメーザを開発

August 23, 2012, Teddington--国立物理研究所(NPL)とインペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)の研究チームは、室温で動作する固体MASER(メーザ)を初めて実証した。
MASER(Microwave Amplification by Stimulated Emission of Radiation)は、レーザ(LASER)が発明される前、50年以上前に開発された。レーザで強い光ビームを作る代わりに、メーザは集中したマイクロ波を発振する。
従来のメーザ技術は、ルビーのような結晶を使ってマイクロ波を増幅することで動作する、このプロセスは「メージング(masing)」として知られている。しかし、メーザの動作には実現が困難な極限条件(極低圧、絶対零度)が必要となるため、レーザと比べると技術的なインパクトはほとんどなかった。さらに、強磁場も必要となり、これには巨大な磁石が不可欠。
今回、NPLとインペリアルの研究チームは、磁場を使うことなく室温で動作する固体デバイスでメージングを実証した。このブレークスルーは、MASERSの製造と動作コストを大幅に下げられことを意味しており、これによってレーザ技術と同様に幅広く適用されるようになることが期待される。
研究チームは、室温メーザの用途として患者をスキャニングする感度の高い医療計測器、爆発物リモート発見用の化学センサ、量子コンピュータ用のローノイズ読み出しメカニズム、他の天体に生命を発見するための電波望遠鏡などを挙げている。
今回の成果では、研究チームは「ルビーとは全く異なるタイプの結晶、ペンタシン添加p-ターフェニルを発見し、これをルビーと置き換えることで、室温でメージングすることができる」と説明している。
現状の課題として研究チームが取り組んでいるものは2つあり、1つはメーザの連続動作。最初のデバイスは、パルスモードで1秒以下しか動作しない。また、マイクロ波全域で動作させることも目標の1つ。現在は狭い帯域でしか動作しない。
長期的目標としては、「ペンタシーン添加p-ターフェニールよりも低消費電力で室温動作する別の物質を発見することも含めて、幅広い目標を掲げている」としている。
(詳細は、Nature on 16 August 2012)

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