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東北大学電気通信研究所、束縛された量子もつれの活性化に成功

August 1, 2012, 仙台--東北大学電気通信研究所枝松圭一教授,金田文寛研究員らの研究グループは,量子通信,量子計算に必要な「量子もつれ」の一種である「束縛された」量子もつれを,利用可能な形に「活性化」する実験に世界で初めて成功した。
量子通信や量子計算機など,電子や光の量子力学的性質を利用して現在の情報通信技術の限界を打破する「量子情報通信技術」が注目されている。その基本となる技術が,複数の電子や光子などの粒子の間に存在する「量子もつれ」と呼ばれる状態の発生・制御技術。量子もつれには,量子情報通信で直接利用可能な量子もつれ(ここではこれを「利用可能」量子もつれと呼ぶ)と,そのままでは利用できない「束縛された」量子もつれとが存在する。量子情報通信において,束縛された量子もつれを利用するためには,それを利用可能な量子もつれに変換する必要があり,これを,束縛された量子もつれの「活性化」と呼ぶ。束縛された量子もつれは,利用可能量子もつれよりもさらに一般的な形態の量子もつれであり,その活性化が実現できれば,量子もつれの利用に関してさらに多くの応用を拓くものとして期待されている。
近年,束縛された量子もつれの活性化に関する理論的提案がなされ,その実験的検証が強く期待されていた。研究グループは,光の粒子である光子を4個同時に発生させ,それらの間に束縛された量子もつれを作り出した。別に発生させた2個の光子の間に利用可能量子もつれを作り,その助けを借りることで,はじめの4個の光子間の量子もつれを活性化できることを実証した。この結果は,束縛された量子もつれの活性化に関する世界初の成功例であり,量子情報通信における量子もつれの利用技術に新たな道を拓いたことになる。
この研究成果は、東北大学電気通信研究所および電気通信大学,広島大学の研究グループの共同研究の成果で,2012年7月30日(米国時間)に発行されるアメリカ物理学会誌「Physical ReviewLetters」(オンライン版)に掲載された。

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