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Caltech、生物組織の内部を見る技術を開発

July 4, 2012, Pasadena--カリフォルニア工科大学(Caltech)の研究グループが開発した技術により、皮膚を切らないで外科手術を行う、体内の腫瘍を超音波並の簡単な手続きで観察して癌の診断を行う、などが遠くない将来にできるようになる。
この新しい方法により研究者は生物組織内に効率よく光を集中することができるようになる。従来は光の浸透度はわずか1/10mmだったが、Caltechの研究チームは2.5mmまで光を集中することができるようになった。原理的には、この技術は数インチの深さまで組織に浸透すると言う。この技術は体内でフラッシュライトのように使い、研究者や医者には侵襲性の少ない診断や病気の治療の補助となる生物医学的アプリケーションとなる。
光の強度を上げると、従来のメスさえ不要になる。Caltechの電子工学/生物工学教授、Cahnghuei Yang氏は、「切断しないで外科手術ができるようになる可能性がある」とコメントしている。「レーザの焦点を絞ったスポットを組織に当てると、皮膚を傷つけることがないレーザメスとしてそれを使用できる可能性がある」。
この新しい成果は、Yang氏の研究グループが生物組織の層を透過して見るために開発した技術をベースにしている。以前の成果では、研究者は組織を通して光を照射し、ホログラフィックプレートに散乱光を記録していた。この記録には、光ビームがどのように散乱されたかという情報、組織を通してジグザグに散乱された情報の全てを含んでいる。記録を逆にたどると、組織の反対側に光を送ることができ、元の光源までのパスをトレースすることができる。こうして、散乱効果を不鮮明にすることなく組織の層を通して光を送ることができる。
しかし、内部組織の画像化、内部の細胞/分子、例えば筋肉の画像を得るためには、研究者は光ビームを組織に集中しなければならない。「生物学者にとって、組織内部で何が起こっているかを知ることは極めて重要だ」(Wang氏)。
光を組織に集中するために、研究チームはセントルイスのワシントン大学(WUSTL)、Lihong Wang研究グループの最近の研究成果を拡張した。同グループは、超音波の高周波振動を用いて光を集中する方法を開発していた。 WUSTLグループは、超音波の2つの特徴を利用する。先ず、高周波音波は組織によって散乱されない(これは子宮内胎児の画像を撮れる理由)。第2に、超音波振動は光と相互作用して光の周波数をわずかに変える。この音響光学効果の結果、超音波と相互作用したどんな光でもわずかに色(波長)が変わる。
WUSTLとカルテック両方の実験で、研究チームは超音波を組織サンプル内の微小領域に集中。次に光をサンプルに照射すると、今度は光は散乱された。音響光学効果により、超音波を集中した領域を透過する散乱光はすべて、わずかに波長が変わる。研究チームは、この波長がシフトした光をとりだして記録した。先のカルテックの成果と同様のプレイバックを用いることで、光を戻し、波長が変わったビットだけを超音波が集中した小さな領域へのパスをたどらせた、つまり光それ自身がその領域に集中し、画像が作成される。研究チームは、超音波の焦点を動かすことで、光を集中したい場所を制御することができる。
しかし、WUSTLの実験はほんのわずかな光しか集中させることができないため、限界がある。カルテックのエンジニアの新しい方法によって、研究チームは光ビームを所望のパワーで発射することができるようになり、この点はアプリケーションの展開にとって重要になる。
研究チームは、この新しい方法が蛍光イメージングでどのように使えるかを実証して見せた。チームは、組織サンプル内に“CIT”と記した蛍光パタンでジェルパッチを埋め込み、次に集中光ビームでサンプルをスキャンする。集中光ビームがヒットすると蛍光パタンが励起され、組織内から“CIT”という文字が光り出てきた。研究チームは、蛍光染色でタグ付けした腫瘍像を撮ることでその技術を実証した。
(詳細は、www.caltech.edu)

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