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メリーランド大学、グラフェンで高速高感度フォトディテクタ開発
June 18, 2012, College Park--メリーランド大学(UMD)のナノフィジックス・先端材料研究センタの研究チームは、新しいタイプのホットエレクトロンボロメータ、赤外光ディテクタを開発した。離れた位置から化学、生物化学兵器の検出、空港でのボディスキャナなどのセキュリティイメージング技術、実験室での化学分析、望遠鏡を利用した宇宙後続の研究まで幅広いアプリケーションで使用できる。
研究チーム(Jun Yan助手、Michael FuhrerおよびDennis Drew教授)は、2層(bilayer)グラフェン(カーボンの2原子厚シート)を用いてボロメータを開発した。グラフェンの特性により、このボロメータは非常に広い範囲(テラヘルツから赤外、可視光まで)の光エネルギーに感度がある。
このグラフェンホットエレクトロンボロメータは、特に検出が難しいサブミリ波の高速、高感度、ローノイズディテクタとして有望。これらのフォトンは、相対的にクールな星間分子によって発せられるので、サブミリ波天文学はこれらの星間分子雲を観察することで星や銀河の初期生成段階を研究している。サブミリ波高感度ディテクタは、超遠方の銀河初期の赤方偏移(redshift)や質量の特定、ダークエネルギーや宇宙における構造発展の研究を行う新しい天文台が必要としている。
ほとんどのフォトンディテクタは半導体ベースであるが、半導体はバンドギャップと呼ばれる電子が存在できない領域を持つ材料。半導体の電子は、バンドギャップエネルギーを超えるエネルギーを持つ光フォトンを吸収するが、この特性が太陽電池(PVセル)のようなデバイスの基盤となる。
1原子厚グラファイトプレーンであるグラフェンは、0エネルギーバンドギャップを持つという点でユニークであり、したがっていかなるエネルギーのフォトンでも吸収することができる。この特性のために、ほとんどの半導体を通り抜ける極低エネルギーフォトン(テラヘルツや赤外線)吸収にとってグラフェンは魅力的である。フォトンアブソーバとしてのグラフェンのもう1つの特徴は、エネルギーを吸収する電子がそれを効率よく保持でき、材料原子の振動でエネルギーを失わないことだ。この同じ特徴によりグラフェンは極低抵抗でもある。
メリーランド大学の研究チームは、これら2つの特徴を利用してホットエレクトロンボロメータを作製した。このデバイスは、光吸収にともなう電子のヒーティングに起因する抵抗変化を計測することで動作する。
通常、グラフェン抵抗はほとんど温度と無関係であり、ボロメータに適さない。そのためメリーランドの研究チームは特別な仕掛けをほどこした。2層グラフェンに電界をかけると小さなバンドギャップが生じる。これは、その抵抗が温度に強く依存するほどに大きいが、低エネルギーIRフォトンを吸収する能力を維持できるほどに小さい。
5ケルビンで動作する2層グラフェンホットエレクトロンボロメータが、同じ温度で動作する既存のボロメータに匹敵する感度を持ちながら、1000倍以上高速であることを研究チームは見いだした。グラフェンボロメータのパフォーマンスは、温度をさらに下げると、既存の全ての技術を凌駕する可能性があることが分かった。
課題はいくつか残っている。2層グラフェンボロメータは、他の材料を使用する同様のデバイスよりも電気抵抗が高いので、周波数の高い領域での使用が困難になる可能性がある。また、2層グラフェンが吸収する入射光はわずか数パーセントだ。これらの問題点について、メリーランドの研究チームは、新しいでバス設計で切り抜けようとしており、フォトディテクト材料としてグラフェンは有望であると研究チームは考えているようだ。
(詳細は、www.umd.edu)
研究チーム(Jun Yan助手、Michael FuhrerおよびDennis Drew教授)は、2層(bilayer)グラフェン(カーボンの2原子厚シート)を用いてボロメータを開発した。グラフェンの特性により、このボロメータは非常に広い範囲(テラヘルツから赤外、可視光まで)の光エネルギーに感度がある。
このグラフェンホットエレクトロンボロメータは、特に検出が難しいサブミリ波の高速、高感度、ローノイズディテクタとして有望。これらのフォトンは、相対的にクールな星間分子によって発せられるので、サブミリ波天文学はこれらの星間分子雲を観察することで星や銀河の初期生成段階を研究している。サブミリ波高感度ディテクタは、超遠方の銀河初期の赤方偏移(redshift)や質量の特定、ダークエネルギーや宇宙における構造発展の研究を行う新しい天文台が必要としている。
ほとんどのフォトンディテクタは半導体ベースであるが、半導体はバンドギャップと呼ばれる電子が存在できない領域を持つ材料。半導体の電子は、バンドギャップエネルギーを超えるエネルギーを持つ光フォトンを吸収するが、この特性が太陽電池(PVセル)のようなデバイスの基盤となる。
1原子厚グラファイトプレーンであるグラフェンは、0エネルギーバンドギャップを持つという点でユニークであり、したがっていかなるエネルギーのフォトンでも吸収することができる。この特性のために、ほとんどの半導体を通り抜ける極低エネルギーフォトン(テラヘルツや赤外線)吸収にとってグラフェンは魅力的である。フォトンアブソーバとしてのグラフェンのもう1つの特徴は、エネルギーを吸収する電子がそれを効率よく保持でき、材料原子の振動でエネルギーを失わないことだ。この同じ特徴によりグラフェンは極低抵抗でもある。
メリーランド大学の研究チームは、これら2つの特徴を利用してホットエレクトロンボロメータを作製した。このデバイスは、光吸収にともなう電子のヒーティングに起因する抵抗変化を計測することで動作する。
通常、グラフェン抵抗はほとんど温度と無関係であり、ボロメータに適さない。そのためメリーランドの研究チームは特別な仕掛けをほどこした。2層グラフェンに電界をかけると小さなバンドギャップが生じる。これは、その抵抗が温度に強く依存するほどに大きいが、低エネルギーIRフォトンを吸収する能力を維持できるほどに小さい。
5ケルビンで動作する2層グラフェンホットエレクトロンボロメータが、同じ温度で動作する既存のボロメータに匹敵する感度を持ちながら、1000倍以上高速であることを研究チームは見いだした。グラフェンボロメータのパフォーマンスは、温度をさらに下げると、既存の全ての技術を凌駕する可能性があることが分かった。
課題はいくつか残っている。2層グラフェンボロメータは、他の材料を使用する同様のデバイスよりも電気抵抗が高いので、周波数の高い領域での使用が困難になる可能性がある。また、2層グラフェンが吸収する入射光はわずか数パーセントだ。これらの問題点について、メリーランドの研究チームは、新しいでバス設計で切り抜けようとしており、フォトディテクト材料としてグラフェンは有望であると研究チームは考えているようだ。
(詳細は、www.umd.edu)