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3つの望遠鏡で作る干渉計でブラックホールの活動を観測

June 4, 2012, Santa Barbara--強力な赤外望遠鏡の光を統合することで国際研究チームは、数千万光年離れた銀河中心の超大型ブラックホール活動を観察することができた。これは、このような観測で前例のない大量のデータを生み出した方法である、と研究チームは説明している。
この高発光性の活動銀河核(AGN)を観測できる分解能によって研究チームは、銀河の中心のブラックホールに大量の塊がどのように融合しているかを直接確認できた。
カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)物理学部ポスドク研究者、Sebastian Hoenig氏は、「この3望遠鏡干渉計は、超大型ブラックホール成長相の直接イメージングへの大きな成果だ」と語っている。同氏は、この技術を使って銀河NGC3783中心のAGNを観察する天文物理学者の1人。観察は、ドイツ、ボンのマックスプランク研究所電波天文学ディレクタ、Gerd Weigelt氏が指導した。
Hoenig氏は、この成果をホットダストリング(a ring of hot dust)として発表した。論文には、ブラックホールからさらに離れた位置のトロイダル(ドーナツ型)構造のガスとダストとの混合から、ブラックホール寄りのガス状ディスクへの転移が記されている。同氏によると、ダスト部分は活性銀河中核の赤外放射が優位を占めているので容易に観察できる。
しかし、NGC3783のホットダストリングの観察は宇宙物理学者にとって大きな課題だった。リングの距離と、それがぼやけていることに加えて、活発に融合成長する観察対象に対する距離分解能が個々の赤外望遠鏡になかったからだ。世界最大の光学/赤外望遠鏡、Keck望遠鏡でさえ、十分な分解能がなく、月の距離にあるフットボール競技場に匹敵する範囲に赤外の物体を捉えることができるだけだ。
「銀河近傍の超大型ブラックホールへの物体降着を捉える空間分解能を得るには、少なくとも10倍の改善が必要だ」とHoenig氏は言う。1つの望遠鏡でその角分解能を実現するには直径130mの望遠鏡が必要になる。
しかし、チリのパラナル天文台にある、超大型干渉計望遠鏡(VLTI)で3つの8m望遠鏡からの光を同時に統合したAMBER干渉計を用いることで、研究チームはホットダストリング観察に必要な角分解能を達成できた。パラナル天文台は、ヨーロッパ南天天文台(ESO)が運用している。
3つの望遠鏡からの光を統合することは至難の業だった。個々の望遠鏡の光の到着のわずかな違いも、数ミクロン(μm)の精度で絶えず修正しなければならないからだ。
研究チームの次の目標は、銀河NGC3783の詳細なAGN像獲得に向けて、観察データからの情報を継続的に集積することになる。
「われわれの関心は、銀河の中心の超大型ブラックホールがどのように増幅されるかを知り、それが現在われわれが見ている何百万、何十億の太陽クラスの巨大な塊にどのように成長するかを知ることだ」とHoenig氏はコメントしている。

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