関連イベント
関連雑誌
News Details ニュース詳細
単層カーボンナノチューブで赤外ディテクタ
May 29, 2012, Washington--望遠鏡やオプトエレクトロニクス通信で、迷熱放射で赤外ディテクタが使えなくなるのを防ぐために冷却が必要とされている。北京大学、中国科学アカデミー、デューク大学(US)の研究チームは、単層カーボンナノチューブ(SWNT)の際立った特性を活用して高感度の「非冷却」フォトボルテイック(PV)赤外ディテクタを実現しようとしている。
この新タイプのディテクタは、産業、軍事、製造、光通信、科学用途でも有用性が実証される可能性が高い。
カーボンナノチューブ(CNT)は、機械的、電気的、光学特性が優れていることで知られている。北京大学エレクトロニクス学部Sheng Wang助教授によると、CNTは赤外アプリケーション向けの理想的なナノ材料でもある。「先ず第1に、これらのナノチューブは広帯域で赤外光吸収が強く、ナノチューブの径を選択することでチューニングも可能だ。また、電子の移動性が高いため、ナノチューブは赤外光に対する反応が速く、ピコ秒オーダーだ」。従来の赤外ディテクタ、水銀-カドミウム-テルル合金と比べて、SWNTは桁違いに効率がよい。
同研究チームのPV赤外ディテクタは、シリコン基板にSWNTアレイを整列させて形成する。次に、ナノチューブアレイは、非対称なパラジウムとスカンジウムコンタクトの間に置く。これら2つの金属は合わせてオーミックコンタクトを形成する。オーミックコンタクトとは、電気抵抗が極めて低い半導体デバイスの領域で、これによりディテクタ動作の効率が高まる。
Wang氏によると、カーボンナノチューブ赤外ディテクタの製造はローコストでフレキシブル基板と大型ウェハで簡単にできる。
研究チームによると、このディテクタは、室温で「許容範囲の感度」が実証されており、カーボンナノチューブの密度を高めることで大幅な性能改善が得られる見込だ。従来の赤外フォトディテクタの信号-ノイズパフォーマンスは、自然の赤外発光によって制限を受ける。これがディテクタに吸収されるからだ。この迷光放射によるディテクタの性能劣化を避けるために液体窒素、電気的冷却によってこの熱効果を抑制するのが一般的。しかし、これは赤外ディテクタを複雑にし、高価にする。新しいデザインでは、カーボナノチューブが特別な熱特性を持っているために、このような対策が不要。室温でも、ディテクタの赤外放射は比較的少なく、特にカーボンナノチューブを基板においているときは少ない。また、ナノチューブは熱伝導性に優れているので、熱はディテクタ自体に蓄積されない。
Wang氏によると、研究チームの大きな驚きの1つは、わずか数nmの厚さのカーボンナノチューブ薄膜を用いて、比較的高い赤外検出(フォトコンダクタから信号を取り出すのに必要な放射パワー)を達成したことだ。従来の赤外ディテクタでは、これよりも遙かに厚い膜、数百nmスケールなければこれに匹敵する検出は得られない。
このディテクタのもう1つの利点は、製造プロセスがカーボンナノチューブトランジスタと完全適合的であること、つまり高価な装置変更は不要である。「ドーピングフリー化学アプローチは、カーボンナノチューブ電子およびオプトエレクトロニックICにとって理想的なプラットフォームだ」とWang氏はコメントしている。
次のステップでは、研究チームは、SWNTの密度を高めてディテクタの検出性を向上させること、また径のコントロール向上で広いスペクトラル応答を達成することである、としている。
この新タイプのディテクタは、産業、軍事、製造、光通信、科学用途でも有用性が実証される可能性が高い。
カーボンナノチューブ(CNT)は、機械的、電気的、光学特性が優れていることで知られている。北京大学エレクトロニクス学部Sheng Wang助教授によると、CNTは赤外アプリケーション向けの理想的なナノ材料でもある。「先ず第1に、これらのナノチューブは広帯域で赤外光吸収が強く、ナノチューブの径を選択することでチューニングも可能だ。また、電子の移動性が高いため、ナノチューブは赤外光に対する反応が速く、ピコ秒オーダーだ」。従来の赤外ディテクタ、水銀-カドミウム-テルル合金と比べて、SWNTは桁違いに効率がよい。
同研究チームのPV赤外ディテクタは、シリコン基板にSWNTアレイを整列させて形成する。次に、ナノチューブアレイは、非対称なパラジウムとスカンジウムコンタクトの間に置く。これら2つの金属は合わせてオーミックコンタクトを形成する。オーミックコンタクトとは、電気抵抗が極めて低い半導体デバイスの領域で、これによりディテクタ動作の効率が高まる。
Wang氏によると、カーボンナノチューブ赤外ディテクタの製造はローコストでフレキシブル基板と大型ウェハで簡単にできる。
研究チームによると、このディテクタは、室温で「許容範囲の感度」が実証されており、カーボンナノチューブの密度を高めることで大幅な性能改善が得られる見込だ。従来の赤外フォトディテクタの信号-ノイズパフォーマンスは、自然の赤外発光によって制限を受ける。これがディテクタに吸収されるからだ。この迷光放射によるディテクタの性能劣化を避けるために液体窒素、電気的冷却によってこの熱効果を抑制するのが一般的。しかし、これは赤外ディテクタを複雑にし、高価にする。新しいデザインでは、カーボナノチューブが特別な熱特性を持っているために、このような対策が不要。室温でも、ディテクタの赤外放射は比較的少なく、特にカーボンナノチューブを基板においているときは少ない。また、ナノチューブは熱伝導性に優れているので、熱はディテクタ自体に蓄積されない。
Wang氏によると、研究チームの大きな驚きの1つは、わずか数nmの厚さのカーボンナノチューブ薄膜を用いて、比較的高い赤外検出(フォトコンダクタから信号を取り出すのに必要な放射パワー)を達成したことだ。従来の赤外ディテクタでは、これよりも遙かに厚い膜、数百nmスケールなければこれに匹敵する検出は得られない。
このディテクタのもう1つの利点は、製造プロセスがカーボンナノチューブトランジスタと完全適合的であること、つまり高価な装置変更は不要である。「ドーピングフリー化学アプローチは、カーボンナノチューブ電子およびオプトエレクトロニックICにとって理想的なプラットフォームだ」とWang氏はコメントしている。
次のステップでは、研究チームは、SWNTの密度を高めてディテクタの検出性を向上させること、また径のコントロール向上で広いスペクトラル応答を達成することである、としている。