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スマートフォン組込の近赤外分光器で食品品質検査

May 15, 2012, Dresden--近い将来、スマートフォンを選択した食品(例えば、梨)にかざして関連のアプリケーションを走らせると、ただちにデバイスが「梨の果糖量が多いから、買いなさい」とアドバイスしてくれるようになる。
このアプリケーションは近赤外分光計をベースにしたもので、食品の水、デンプン、脂肪、タンパク質の量を計測する。このシステムは、食品表面下数センチを見る。つまり、リンゴの芯がすでに腐っているかどうかなどを検出することができる。デバイスは、包装フィルムを透して計測するので、それは障害にならない。
デバイスは、広帯域光を検査するものに、例えば肉に照射することで計測する。肉の成分に応じて、反射する近赤外の異なる波長の強度が違っている。
この分光計で新しいところはサイズだ。わずか2.1ccであり、角砂糖よりも30%小さい。したがって、これよりも約350倍も大きな市販品と比べると極めてコンパクトである。もう1つの利点は、このデバイスが量産に適しており安価になるということだ。ドレスデンのFraunhofer Institute for Photonic Microsystems IPMSの関連ビジネスユニットのマネージャ、Dr. Heinrich Grügerは、「分光計はデジタルカメラと同じように発展すると考えている。10年前に500ユーロしたカメラは、現在携帯電話に実質的に無料で搭載されているカメラと比べると遙かに機能が落ちる」とコメントしている。
分光計は通常、個々のコンポーネントをアセンブリして製造する。ミラー、光学ギャップ、グレーティングおよびディテクタそれぞれを個別に搭載し、正しくアライメントしなければならない。フラウンホッファIPMSの研究チームは、このようにする代わりに、個々のグレーティングや光学ギャップを直接シリコンウェハ上に作製する。しかし、これだけではない。薄いシリコンウェハは大きいので、数百の分光計のコンポーネントがウェハ上に形成できる。言い換えると、1回の工程で何百もの近赤外のシステムが作製できる。研究チームは、集積されたコンポーネントを持つウェハをスタックしていく。次にウェハのアライメントと固定を行い、それらを分離して個々の分光計を作製する。これは、各コンポーネントの位置決めをするのではなく、各複合基板の位置決めを行うことを意味する。いわゆるMEMS技術のもう1つの利点は、製造されるデバイスが手作りのデバイスと比べると遙かに丈夫であるということだ。
フラウンホッファIPMSによると、このデバイスは3~5年で市場に出せる。「記録したスペクトラムを直ちに分析し、要求と比較し、消費者にその品物を買うべきかどうかをアドバイスするインテリジェントなアルゴリズムを開発している。アドバイスは、成熟度、含水量などの品質特性だけに基づいている。システムは、微生物分析あるいは毒物分析は行わない」。この分光計の潜在的なアプリケーションは、食物分析に限られない。例えば、偽造物分析もでき、製品が高品質の原材料でできているか、あるいは安い偽物であるかどうかを評価することができる。また、車体のパーツが再塗装したかどうかも暴き、薬品や化粧品の内容物もテストすることができる。
この分光器は5月22~24日にニュルンベルクで開催されるSensor+Test展示会に出展されている。

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