Laser Focus World JAPAN　レーザーフォーカスワールドジャパン

May 8, 2012, New Haven--イェール大学の新たな研究成果によると、「ランダムレーザ」を医療イメージング装置の光源に用いると、処理時間と最終的な画像の鮮明度が改善される。
現在のイメージングシステムは、特殊光源、LED、従来のレーザなど様々な光源に依存しているが、これらの中で最も輝度の高い従来のレーザを使用するシステムは、最終画像を損なう不要な副産物を生成することがある。よくある例では、スペクル(斑点)が、降雪パタンに見える。
イェール大学の研究チームは、光の生成、発振が従来のレーザとは異なる「ランダムレーザ」と呼ぶ特別なタイプのレーザを考案した。開発の狙いはスペクルや視覚的欠損なしに通常の効果を得ることにある。
イェール大学診断放射線医学、小児科、医用生体工学助教授、Michael A. Chomaは、「ランダムレーザはLEDや電球よりも遙かに明るく、スペクルフリーの像を生成する。われわれの成果は画期的であると言える」と語っている。同氏は、この研究の主席研究者の1人。
従来のレーザは、空間モードとして知られる単一の強力なビームを発振する。そのシングルビームのフォトンは、観察する試料によって散乱され、所望の像以外に、ランダムな粒々のバックグラウンドノイズ、つまりスペクルが生ずる。
ノイズを緩和する1つの方法は、LEDや電球などの光のように、多くの空間モードを利用することだ。残念ながら、これらの光源はレーザに比べると弱い。
研究チームによると、ランダムレーザは、電球のように多くの空間モードを持ちながら、従来のレーザのように強いビームを出すので、スペクルフリーの像を生成する。言い換えると、ランダムレーザは、レーザの強度をもった電球に近いものだ。
「われわれが開発したランダムレーザは、レーザと白色光源の利点を統合したものであり、イメージングやプロジェクション用途に幅広く使える可能性がある」とイェール大学の応用物理学教授、Hui Cao氏はコメントしている。
また、ランダムレーザの出す光によってイメージ生成が高速化する。このため、研究者や臨床医は、動きが速い生理学的な現象をよりよく捉えることができる、例えば胚の心臓の動き、目の血流パタン、あるいは組織の広い範囲を現在の技術よりも短時間で捉えることができるかも知れない。
(詳細は、online April 29 Nature Photonics)