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富士通、超高速光伝送システム向け補償回路の消費電力を約1/3に削減
March 13, 2012, 東京--富士通、富士通研究所と富士通研究開発中心有限公司は、数百km以上の長距離伝送システムにおいて、信号の波形歪みを補償するデジタル信号処理アルゴリズムを開発した。回路規模あたりの補償能力を、一般的な従来技術と比較して約20倍、富士通の従来技術と比較して約3倍と格段に高め、光信号の到達距離の長距離化に成功。また、補償回路の消費電力を約1/3に削減した。
この技術により、通信キャリアの基幹伝送ネットワークや大規模データセンタ間を結ぶネットワークに対して、再生中継器が不要となるため超高速の長距離伝送システムを低消費電力・低コストで提供できるようになり、次世代スマートフォンや次世代クラウドサービスの進展を支えるネットワークが実現する。
100Gbpsを超える超高速信号は、数百km以上の長距離を光ファイバで伝送されるにつれて、非線形光学効果によって波形に歪みが累積し、やがて信号を正しく受信することが困難になる。これに対して、信号の歪みを補正してきれいな波形に復元する非線形補償技術の研究が行われている。この技術の実現により、高価で消費電力の高い再生中継器を用いずに信号の到達距離を延ばすことが可能となるため、ネットワークの低コスト化・消費電力削減につながる。
これまで富士通では、受信器内のデジタル信号処理回路で光ファイバによる波形歪みの逆特性を実現する方式について研究開発をすすめ、昨年9月には、従来よりも大幅な回路削減を実現するための独自技術を開発した。しかし、とどまる気配のないデータ通信量の爆発に備えるため、いっそうの高効率化・低消費電力化が望まれている。
開発技術
今回、補償回路の規模を一般的な従来技術と比較して約20分の1(自社技術比約1/3)に削減し、圧倒的に高い補償効率を実現する技術を開発した。
1. 発想の転換:「歪みを直す」から「歪んだらきれいになる」
従来は「歪んだ波形を元に戻す」という発想で受信側のデジタル信号処理による補償を追求してきたが、今回、「歪んだらきれいな波形に戻るように逆歪みを加えて送信する」 と発想を転換。補償回路が受信端にある場合と異なり、送信端にある補償回路の入力波形は雑音も歪みも含まないため、波形を形成するための演算処理の単純化が可能になる。
2. 業界標準であるDP-QPSK変調方式に特化
従来の技術では、どのような種類の信号に対しても補償可能な汎用性を追求してきたが、補償回路規模の低減は限界に近づきつつある。今回、100Gbps伝送装置でデファクト標準方式となっているDP-QPSK信号に対象を絞り込み、演算式を簡略化することで、補償回路規模を大幅に削減。
3. 送信光出力のパルス化による一層の性能改善
送信器から出力される光信号を、RZパルスに変換することで、さらに非線形補償の改善効果が高まることを発見。
開発成果を、112Gbpsの伝送実験に適用した結果、他社従来技術で20段の補償回路を用いて得られるよりも高い信号品質が、開発技術ではわずか1段の回路で得られることを確認。回路規模の小型化により、大幅な低消費電力化が可能となる。
この技術により、光ファイバによる超高速ネットワークを、低消費電力かつ低コストで構築できるようになる。
富士通は、今回開発した技術を100Gbpsを超える次世代長距離光通信システムに搭載し、2015年頃までに実用化を進める予定。また、データセンタ内やアクセス網などに向けた大容量の短距離伝送など、幅広い応用分野への展開も検討していく。
この技術により、通信キャリアの基幹伝送ネットワークや大規模データセンタ間を結ぶネットワークに対して、再生中継器が不要となるため超高速の長距離伝送システムを低消費電力・低コストで提供できるようになり、次世代スマートフォンや次世代クラウドサービスの進展を支えるネットワークが実現する。
100Gbpsを超える超高速信号は、数百km以上の長距離を光ファイバで伝送されるにつれて、非線形光学効果によって波形に歪みが累積し、やがて信号を正しく受信することが困難になる。これに対して、信号の歪みを補正してきれいな波形に復元する非線形補償技術の研究が行われている。この技術の実現により、高価で消費電力の高い再生中継器を用いずに信号の到達距離を延ばすことが可能となるため、ネットワークの低コスト化・消費電力削減につながる。
これまで富士通では、受信器内のデジタル信号処理回路で光ファイバによる波形歪みの逆特性を実現する方式について研究開発をすすめ、昨年9月には、従来よりも大幅な回路削減を実現するための独自技術を開発した。しかし、とどまる気配のないデータ通信量の爆発に備えるため、いっそうの高効率化・低消費電力化が望まれている。
開発技術
今回、補償回路の規模を一般的な従来技術と比較して約20分の1(自社技術比約1/3)に削減し、圧倒的に高い補償効率を実現する技術を開発した。
1. 発想の転換:「歪みを直す」から「歪んだらきれいになる」
従来は「歪んだ波形を元に戻す」という発想で受信側のデジタル信号処理による補償を追求してきたが、今回、「歪んだらきれいな波形に戻るように逆歪みを加えて送信する」 と発想を転換。補償回路が受信端にある場合と異なり、送信端にある補償回路の入力波形は雑音も歪みも含まないため、波形を形成するための演算処理の単純化が可能になる。
2. 業界標準であるDP-QPSK変調方式に特化
従来の技術では、どのような種類の信号に対しても補償可能な汎用性を追求してきたが、補償回路規模の低減は限界に近づきつつある。今回、100Gbps伝送装置でデファクト標準方式となっているDP-QPSK信号に対象を絞り込み、演算式を簡略化することで、補償回路規模を大幅に削減。
3. 送信光出力のパルス化による一層の性能改善
送信器から出力される光信号を、RZパルスに変換することで、さらに非線形補償の改善効果が高まることを発見。
開発成果を、112Gbpsの伝送実験に適用した結果、他社従来技術で20段の補償回路を用いて得られるよりも高い信号品質が、開発技術ではわずか1段の回路で得られることを確認。回路規模の小型化により、大幅な低消費電力化が可能となる。
この技術により、光ファイバによる超高速ネットワークを、低消費電力かつ低コストで構築できるようになる。
富士通は、今回開発した技術を100Gbpsを超える次世代長距離光通信システムに搭載し、2015年頃までに実用化を進める予定。また、データセンタ内やアクセス網などに向けた大容量の短距離伝送など、幅広い応用分野への展開も検討していく。