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物体の運動制御に光を用いるシステムを実証

February 8, 2012, Lausanne--物体の運動制御に光を用いるシステムを物理学者が実証した。物体のサイズは裸眼で見える程度のものであり、量子力学がその振る舞いを支配できるレベルにある。
物体の運動は究極的には量子力学の法則によって支配される。ここからいくつかの興味深い現象が予見されている。1つの物体が同時に2つの場所に存在しうる、また例え絶対零度であっても、それは常に小さく振動している。この振動は量子「基底状態」にあると言われている。最近まで、量子力学のこうした奇妙な予見は、個々の原子など、微小な物体の運動でのみ観察された。大きな物体は、物体と周囲の環境との結合が避けられないので、この量子的な特性は、いわゆるデコヒレンスというプロセスで、消え去ってしまう。しかし、スイスEPFL(Ecole Polytechnique Fédérale de Lausanne)のフォトニクス/量子計測研究所の研究グループは、数100兆個の原子で構成された大きな物体の振動運動を、光を用いて量子レベルで制御することが可能であることを示した。
研究チームが使用した物体は円形デザインで、マイクロチップにマウントした直径30μmのガラスドーナツ。Tobias Kippenberg氏の指示を受けて、チームは光ファイバにレーザを入れて、それをそのドーナツに近づけ、光が物体に飛び移ってドーナツを100万回周回するようにした。ワイングラスの縁に沿って走る指の圧力で音が出るのと同様に、ガラスリング内を走るフォトンの微小な力が、明確に定められた周波数でその物体を振動させる。しかし、その力は振動を弱めるようにも働き、振動運動を静めることになる。
量子力学的な運動の領域に達するには冷却が決め手になる。通常はランダムな熱振動の影響を受けているからだ。このため、絶対零度よりもわずかに上の温度(-273.15℃)にすることができる低温槽に構造物を入れる。ガラスドーナツに入れた光は、動作が100倍遅くなり、それをさらに冷却すると、量子「基底状態」に極めて近くなる。さらに重要な点は、光と共振器の運動の相互作用は、両者が密接な接続を形成するほどに強くすることができることだ。光パルス的な小さな励起は小さな振動になり、また元に戻ってくる。初めて、光と運動とのこの変換が短時間に起こった。それは元の光パルスの量子的特性が、デコヒレンス過程で失われない程度に短い時間であった。デコヒレンスを追い越すことによって、この成果は物体の運動の量子的特性を制御できることを示した。また、人工の物体で量子力学の特別な予見を知る方法を与えるものでもある。
機械的な振動は、全く異なる自然(電流など)の量子システムや光に結びつけることができる。したがって、そうしたシステムと光信号との間の量子情報を読み取るために使用できる。これは、光ファイバで遠くに、将来の量子コンピュータの基本要素である量子情報をトランスポートできるので、特に有用である。
(詳細は、www.epfl.ch)

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