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極端紫外レーザによる「超蛍光」を初めて観測

October 26, 2011, 和光--理化学研究所、日本原子力研究開発機構、大学共同利用機関法人自然科学研究機構分子科学研究所(分子研)、高輝度光科学研究センターは、極端紫外領域の自由電子レーザを用いて、通常の蛍光よりも30億倍明るい発光現象「超蛍光」の観測に成功した。
超蛍光は量子光学効果の1つとして古くから知られている現象だが、極端紫外領域の光を用いた観測は初めて。これは、理研放射光科学総合研究センターXFEL研究開発部門の永園充チームリーダー、原子力機構量子ビーム応用研究部門のジェームス・ハリーズ研究員、分子科学研究所の繁政英治准教授らによる共同研究の成果。
高いエネルギー状態(励起状態)にある1個の原子は、通常、その状態を長く維持することはできず、ある寿命(励起寿命)で低いエネルギー状態に戻る(脱励起)。この時、余分なエネルギーを光(蛍光)として放出することがある。多数の励起原子が蛍光を放出して脱励起するとき、その強度は励起状態にある原子の数が徐々に減る様子を反映した減衰曲線を描く。これらが狭い空間内に集まると、励起原子は孤立した独立の原子として振る舞うことができず、励起原子集団としていっせいに蛍光を放出、この現象を「超蛍光」と呼ぶ。その特徴は、励起原子を生成してからある遅延時間後に蛍光強度が最大(パルス的な分布)となることと、レーザ光のように高い指向性とコヒーレント性にある。
研究グループは、SCSS試験加速器施設で、波長53.7nmの高強度・短パルスの極端紫外自由電子レーザを高濃度のヘリウム原子ガスに照射し、10億個からなるヘリウム原子集団がいっせいに発光する「超蛍光」の観測に成功。超蛍光は、可視光領域(波長400 nm~700 nm)から長波長領域の光照射ではすでに観測されていたが、極端紫外光照射では初めて。この成果は、2012年3月から利用が開始されるX線自由電子レーザ施設SACLAのX線レーザを用いたX線領域での超蛍光(超蛍光X線)の発生を示唆しており、新しい原理に基づくコヒーレント単色X線光源、X線分析、生体分子構造解析、X線光学素子などX線自由電子レーザ利用の多様化につながるものと期待される。
(詳細は、www.riken.go.jp)

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