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富士通、高性能歪み補償回路を開発

September 28, 2011, 東京--富士通、富士通研究所と富士通研究開発中心有限公司は、数100km以上の長距離伝送システムにおいて、光ファイバで伝送する信号の波形歪みを補正するデジタル信号処理アルゴリズムを開発した。回路規模と消費電力を一般的な従来技術と比較すると約85%、同社で開発した技術と比較すると約50%削減することを可能にした。
これにより、通信キャリアの基幹伝送ネットワークや大規模データセンタ間を結ぶネットワークに対して、1波長あたり100Gbpsを超える超高速の長距離伝送システムを、従来よりも小型かつ低消費電力で提供できるようになる。
その結果、現在1波長あたり10Gbpsが主流であるネットワーク容量が10倍以上になることで、超高速かつ大容量データの活用が可能となり、次世代スマートフォンや次世代クラウドサービスの進展を支えるネットワークを実現する。
100Gbpsを超える超高速信号は、数100km以上の長距離を光ファイバで伝送されるにつれて、非線形光学効果によって波形に歪みが発生し、信号を正しく受信することが困難になる。このため、信号の歪みを受信器で補正してきれいな波形に復元する非線形補償技術の研究が行われてきた。
しかし、従来の技術では非線形補償技術を実装するために、半導体集積回路として1億ゲートを超える膨大な回路規模が必要となるため、2020年頃までの半導体技術では実用化が困難であり、回路規模の削減が課題となっていた。これに対して、富士通は昨年9月に、従来よりも大幅な回路削減のための独自技術を開発し、2015年ごろの実用化可能性の見込みを得た。しかし、ネットワークでの大量のデータ通信により、さらなる低消費電力化・小型化が望まれている。
今回、歪み補償の性能はそのままに、処理に必要な回路段数を一般的な従来技術と比較して約7分の1(自社技術比は約2分の1)に削減できる、新しい信号処理アルゴリズムを開発。
開発した技術は以下のとおり。
高精度な歪み補償のための数式の改善: 信号の歪みを数式モデルで表現して近似的に分析した結果、従来の技術では見逃していた歪みの成分を数式で表現することに成功。この歪みの成分を補正することにより、少ない段数で精度のよい歪み補償が可能になる。
効率のよい歪み補償回路形式の開発: 上の数式をさらに整理することで、高精度な補償を小規模な回路で実現できる、効率のよい構成を開発。2010年9月に富士通が開発した技術に対して、今回の補償回路を追加することで、歪み補償の飛躍的な高精度化を実現し、全体として大幅な回路段数・規模の削減を可能にする。
この技術を、112Gbpsの1,500km伝送実験に適用して、従来技術では20段の回路を用いて得られる信号品質が、開発技術ではわずか3段の回路(所用回路段数:約85%削減)で得られることを確認。回路規模が小型化されることにより、大幅な低消費電力化が可能となる。また、従来技術と同等の回路段数を適用した場合には、より高い信号品質を得ることで、伝送距離を長距離化する効果も期待できる。
この技術により、光ファイバによる超高速ネットワークを、低消費電力かつ低コストで構築できるようになります。これにより、これまで以上に大容量データのやりとりを必要とする、次世代スマートフォンや次世代クラウドコンピューティングの新しいサービスを提供することができるようになる。
富士通は、「今回開発した技術を100Gbpsを超える次世代長距離光通信システムに搭載し、2015年頃までに実用化を進める予定」としている。また、データセンタ内やアクセス網などに向けた大容量の短距離伝送など、幅広い応用分野への展開も検討していく。
(詳細は、www.jp.fujitsu.com)

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