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新型顕微鏡で分子の動きをマイクロ秒観察
August 17, 2011, ハイデルベルク--ドイツ、ハイデルベルクのヨーロッパ分子生物学研究所(EMBL)の研究者が開発した新型顕微鏡を用いることで、研究者たちは生きた細胞の分子の動きを文字通りマイクロ秒単位で見ることができるようになった。
ライトシート顕微鏡と単一分子分光計とを組合せた新しい顕微鏡は視野の全ピクセルの蛍光を記録し、1マイクロ秒以下の間隔で撮影することができる。このため、研究者たちは分子の拡散の仕方などについて、試料全体にわたり、たとえそれが複数の細胞を含んでいても、高速プロセスを観察し、計測することができる。これは、従来の共焦点顕微鏡をベースにした技術から大幅な前進となる。従来技術では、研究者たちはせいぜい試料の孤立した数点を1度に見ることができるだけだった。
「これはまさしく生化学実視だ」とEMBLでこの顕微鏡を開発したMalte Wachsmuth氏は言う。「われわれは、生きた細胞全体の蛍光標識をつけた分子を3Dで追い、相互作用レート、性合親和性といった生化学的な特性が細胞全体でどのように変化するかを見ることができる」。
これまでは、染色体を形成するDNA, RNAやタンパク質の組合せ、クロマチン(chromatin)は2つの状態で観測された。しっかりと絡み合っていて、DNAのほとんどは細胞の遺伝子読取機構にアクセスできない、その場合それはヘテロクロマチン(異質染色質)と呼ばれている。あるいは、緩やかに詰め込まれて簡単に読み取れる、ユー・クロマチン(真性染色質)と呼ばれている。しかし、新しい顕微鏡を使ってクロマチンと、HP1–αと呼ばれるタンパク質との相互作用を計測したとき、EMBLの研究者たちは興味深い発見をした。
「ユークロマチンのように見えるエリアの中には、HP1–αがヘテロクロマチンの中にあるように振る舞うものがあった。このことは、クロマチンがヘテロクロマチンとユークロマチンの中間的な状態にも存在することがあることを示唆している。生きた細胞では、これは以前には観察できなかったことだ」とハイデルベルク大学のMichael Knop氏はコメントしている。
高速に動く分子を観察するツールを提供することで、研究者たちは、新しい顕微鏡が癌の成長ホルモンの役割から、細胞分裂の規則、シグナリング、胚にける組織発展のパタンまで幅広いプロセスの研究に役立つと考えている。
(詳細は、www.embl.de)
ライトシート顕微鏡と単一分子分光計とを組合せた新しい顕微鏡は視野の全ピクセルの蛍光を記録し、1マイクロ秒以下の間隔で撮影することができる。このため、研究者たちは分子の拡散の仕方などについて、試料全体にわたり、たとえそれが複数の細胞を含んでいても、高速プロセスを観察し、計測することができる。これは、従来の共焦点顕微鏡をベースにした技術から大幅な前進となる。従来技術では、研究者たちはせいぜい試料の孤立した数点を1度に見ることができるだけだった。
「これはまさしく生化学実視だ」とEMBLでこの顕微鏡を開発したMalte Wachsmuth氏は言う。「われわれは、生きた細胞全体の蛍光標識をつけた分子を3Dで追い、相互作用レート、性合親和性といった生化学的な特性が細胞全体でどのように変化するかを見ることができる」。
これまでは、染色体を形成するDNA, RNAやタンパク質の組合せ、クロマチン(chromatin)は2つの状態で観測された。しっかりと絡み合っていて、DNAのほとんどは細胞の遺伝子読取機構にアクセスできない、その場合それはヘテロクロマチン(異質染色質)と呼ばれている。あるいは、緩やかに詰め込まれて簡単に読み取れる、ユー・クロマチン(真性染色質)と呼ばれている。しかし、新しい顕微鏡を使ってクロマチンと、HP1–αと呼ばれるタンパク質との相互作用を計測したとき、EMBLの研究者たちは興味深い発見をした。
「ユークロマチンのように見えるエリアの中には、HP1–αがヘテロクロマチンの中にあるように振る舞うものがあった。このことは、クロマチンがヘテロクロマチンとユークロマチンの中間的な状態にも存在することがあることを示唆している。生きた細胞では、これは以前には観察できなかったことだ」とハイデルベルク大学のMichael Knop氏はコメントしている。
高速に動く分子を観察するツールを提供することで、研究者たちは、新しい顕微鏡が癌の成長ホルモンの役割から、細胞分裂の規則、シグナリング、胚にける組織発展のパタンまで幅広いプロセスの研究に役立つと考えている。
(詳細は、www.embl.de)