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オーストラリアの医学者、独自の顕微鏡でT細胞のメカニズムを観察

June 13, 2011, New South Wales--ニューサウスウエイルズ大学(UNSW)の医学者たちが、初めてT細胞の内部メカニズムを観察した。T細胞は、血流内の細菌、その他の侵入者に対して免疫系に警戒態勢をとらせる前線部隊。
今回の発見は、一般的な理解を覆し、T細胞にアクションを起こさせる正確な分子スイッチを特定した。これは画期的な発見であり、自己免疫疾患から癌まで、幅広い条件の治療につながる、研究者は報告している。
UNSWロウイ癌研究センタ、血管研究センタのKatharina Gaus助教授をリーダーとして、初期免疫反応で重要な細胞タンパク質を調べていた研究者たちは、オーストラリア唯一の超高解像度蛍光顕微鏡を用いてタンパク質を分子ごとに画像化し、免疫「スイッチ」を明らかにした。
Dr. Gausによると、この技術は科学にとって大きなブレイクスルーと言える。「現在、超高解像度(super resolution)の顕微鏡として使えるものは世界に6台しかない。これまでも、T細胞を顕微鏡で見ることができたが、その個々の分子が何をしているかは見ることができなかった」。
新しい顕微鏡を使うことで、研究者たちは10nmまで分子を画像化できた。これにより、研究チームはT細胞活性化についての既存の考えを覆した。「これまで、T細胞のシグナリングは、活性化されたレセプタ周辺に形成された分子クラスタの細胞表面で始まると考えられていた。実際に起こったことは、小嚢と言う細胞内の、小さな膜に囲まれた囊がレセプタまで移動し信号をピックアップして、それから離れる」と同氏は説明している。Dr. Gausによると、この発見は免疫反応がどのようにして迅速に起こるのかを説明している。
「シグナリングステーションは、ドッキングポートか、離着陸する飛行機のような小嚢を持つ空港のようだ。このプロセスにより、数個のレセプタが細胞を活性化させ、次に免疫反応全体を誘発する」。
「従来の顕微鏡では、ターゲットとなる分子のすべてが同時に照らし出されて、個々の分子が隣接分子の間に埋もれて分からなくなった、丁度、すべての人が同時に話している群衆の中で会話を理解しようとしているようなものだ」とPhD志願のDavid Williamson氏は言う。同氏の研究が、この論文のベースになっている。
「われわれの顕微鏡を用いて、1度に1個の分子を明るく照らし、隣接分子は暗いままにして、1個の分子の位置を正確に特定することができる。すべてのターゲット分子をこのように呼び出すことで、サンプルのスーパーレゾリューション画像を得ることができる」とWilliamson氏は話している。
次のステップは、他の重要なタンパク質を正確に突き止めてT細胞の活動を完全に明らかにし、同様の分解能の3D画像が得られるように顕微鏡を改善することだ。
「生きた細胞内の個々の分子の振る舞いや機能を見られることは、初めて原子を見ることに匹敵する。分子生物学と細胞生物学の概念全体を変えることになりうる」(Williamson氏)。
(詳細は、www.unsw.edu.au)

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