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理研、1兆分の1秒で変形する光分子スイッチの様子を把捉
April 27, 2011, 和光--理化学研究所は、100兆分の1秒という極短時間のスケールで計測可能な最先端の分光計測法を用いて、光分子スイッチなどへの応用が期待されている光機能性分子の1つ「銅(Ⅰ)ビスジイミン錯体」が、光照射で「分子の身震い」を引き起こしながら変形していく様子を初めて捉えた。
これは、理研基幹研究所田原分子分光研究室の岩村宗高協力研究員、渡邉秀和協力研究員、石井邦彦研究員、竹内佐年専任研究員と田原太平主任研究員による成果。
1価の銅イオン(Cu+)に2つの有機分子が結合した銅(Ⅰ)ビスジイミン銅錯体は、光を効率よく吸収してその形を大きく変形させるため、オン/オフを制御する最小単位の分子スイッチや、光増感型太陽電池における光エネルギー変換のための光増感剤など幅広い用途が期待され、盛んに研究が行われていが、この分子の変形は非常に速く進むため、どのように変形していくのかという詳しい様子は分かっていなかった。
研究グループは、100兆分の1秒の間に起こる分子の変化を観測可能な最先端の分光技術を使って、この分子が変形していく様子を実時間で観測した。その結果、光照射の直後から分子の変形が始まるという従来の予想とはまったく異なり、およそ1兆分の1秒の間、原子が反復的に震えている「分子の身震い」という現象を起こし、待機していることが分かった。さらに、この「分子の身震い」の様子を最先端の量子化学計算を用いて詳しく解析し、銅イオンのまわりの原子がバラバラに身震いするのではなく、誘導される変形の方向に大きく震えていることが分かった。このことは、最初に光が引き起こした原子の震えのエネルギーが、次第に分子の変形のために使われ、やがて分子全体が新たな安定した状態へと変形していくことを示唆している。
今回観測した銅錯体内の原子の反復的な震えや分子の変形前の様子は、金属錯体を使った分子スイッチや光エネルギー変換の研究の進展に大きく寄与すると同時に、これらの分子の新たな機能の設計に向けた指針を与えると期待される。
研究成果は、米国の学術誌『Journal of The American Chemical Society』に近日掲載予定。
これは、理研基幹研究所田原分子分光研究室の岩村宗高協力研究員、渡邉秀和協力研究員、石井邦彦研究員、竹内佐年専任研究員と田原太平主任研究員による成果。
1価の銅イオン(Cu+)に2つの有機分子が結合した銅(Ⅰ)ビスジイミン銅錯体は、光を効率よく吸収してその形を大きく変形させるため、オン/オフを制御する最小単位の分子スイッチや、光増感型太陽電池における光エネルギー変換のための光増感剤など幅広い用途が期待され、盛んに研究が行われていが、この分子の変形は非常に速く進むため、どのように変形していくのかという詳しい様子は分かっていなかった。
研究グループは、100兆分の1秒の間に起こる分子の変化を観測可能な最先端の分光技術を使って、この分子が変形していく様子を実時間で観測した。その結果、光照射の直後から分子の変形が始まるという従来の予想とはまったく異なり、およそ1兆分の1秒の間、原子が反復的に震えている「分子の身震い」という現象を起こし、待機していることが分かった。さらに、この「分子の身震い」の様子を最先端の量子化学計算を用いて詳しく解析し、銅イオンのまわりの原子がバラバラに身震いするのではなく、誘導される変形の方向に大きく震えていることが分かった。このことは、最初に光が引き起こした原子の震えのエネルギーが、次第に分子の変形のために使われ、やがて分子全体が新たな安定した状態へと変形していくことを示唆している。
今回観測した銅錯体内の原子の反復的な震えや分子の変形前の様子は、金属錯体を使った分子スイッチや光エネルギー変換の研究の進展に大きく寄与すると同時に、これらの分子の新たな機能の設計に向けた指針を与えると期待される。
研究成果は、米国の学術誌『Journal of The American Chemical Society』に近日掲載予定。