All about Photonics

Home > News > News Details

News Details ニュース詳細

シュトットガルト大学の研究者が3D光ナノアンテナアレイ作製

April 7, 2011, Stuttgart--シュトットガルト大学の物理学者たちが、3D光ナノアンテナアレイを研究し、作製した。TVアンテナから得たアイデアにより、光データ転送を高速化。
標準的なTVアンテナは、MHz帯の周波数の電磁波によって運ばれる信号を受信する。それを接続されたケーブル内の電流パルスに変換する。アンテナは、長さに大きな差がある2つのスケールをつなげる。キャリア波長はセンチメートルからメートルの範囲、配線のサイズは一般にミリメートルスケールだ。シュトットガルト大学第4物理学研究所の研究者たちは、マックスプランク固体研究所の研究者と共同でこの無線周波数(RF)アンテナのコンセプトを光波長分野に適用することに成功した。研究者たちは、わずか100nmサイズの金属構造が、数100THzの範囲の光周波数を効率よく受信できることを理解した。これは、光データ転送の新しい可能性を開くものである。
あるアンテナの形状が指定された方向からの電波を受信することが知られている。指向性のないTVアンテナはいわゆる八木アンテナであり、1926年に八木と宇田が発明した。複数の平行に並べた、異なる長さのダイポールアンテナで構成された八木–宇田アンテナは、1本のダイポールアンテナよりも5~10倍効率よく一定の方向からの信号を受信するようにチューニングできる。1本のアンテナを八木–宇田アンテナアレイに延ばすと、受信信号の強度は何桁も強くできる。そのようなアンテナアレイは、非常に長い距離、例えば衛星通信の信号伝送に使用される。
地域の研究センタSCoPE(Stuttgart Center of Photonics Engineering)で共同研究を行っていた研究者たちは、通信工学における高効率の信号伝送に触発され、八木–宇田アンテナアレイを光波長までスケールダウンした。PhD学生、Daniel Dregelyは、異なる長さの3D金線アレイを作製し、それをナノメートル精度で交互にスタックした。これを達成するために同氏は最先端のナノテク技術を用い、レイヤー間に誘電体のスペーサを入れた。これによって単一の八木–宇田ナノメートルの周期アレンジが形成されて、求めていた光アンテナアレイとなった。
3Dアレイの計測によって、吸収されるエネルギー量が入射角と入射電磁波の周波数に大きく依存することが分かった。入射波の最大吸収は特に200THzで起こることを研究者たちは示した。ただし、これは個々の八木–宇田アンテナ軸に対して平行な方向からの光だけが影響を与える。この特別な入力状況のために、波長1500nmの入力波が、わずか100nm程度に広がったサブ波長領域に閉じ込められる。このことは今後、ナノスケールで近赤外波の高感度検出に使える。この光アンテナアレイの大きな利点の1つは、その3D特性が面に垂直な波と結合することだ。これはLEDsのような発光素子、非常に高感度のフォトディテクタなどにとって特に利点が大きい。
さらに研究者たちは、3D光八木–宇田ナノメートルアレイを適切な給電回路と結合すると、光波長のビーム操作ができる可能性があることを示した。アレイの個々のナノアンテナの位相を制御すると、円錐方向にわたり発光の完全制御ができるようになる。研究者たちは、光波長でフェーズドアレイを実験的に実現したことはマイクロスケールの高速光データ伝送、例えばHPC回路のマイクロチップなどにつながると考えている。
(詳細は、Daniel Dregely et al., Nature Communications 2, doi:10.1038/ncomms1268, published 05 April 2011.)

製品一覧へ

関連記事

powered by weblio





辞書サイトweblioでLaser Focus World JAPANの記事の用語が検索できます。

TOPへ戻る

Copyright© 2011-2013 e.x.press Co., Ltd. All rights reserved.