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日本初のXFEL施設が:計画通りに完成

April 5, 2011, 播磨--理化学研究所は、高輝度光科学研究センター(JASRI)と協力し、播磨科学公園都市の大型放射光施設SPring-8に隣接して開発・整備を進めている、原子の世界を詳細に映し出す日本初のX線自由電子レーザ(XFEL)施設を、計画どおりの80億電子ボルト(8GeV)で運転、波長0.8Å(Angstrom)というX線を発生、観測することに成功した。
XFEL施設は、国家基幹技術の1つとして位置づけられ、大型放射光施設(SPring-8) と同じ8GeVの電子ビームからX線レーザを発振、利用するために、2006年度から5年間の計画で整備が進められてきた。2011年3月23日には、 XFEL施設の8GeV運転に成功し、波長0.8ÅのX線の発生を確認。 今後、理研は、このX線の位相をそろえてXFELのレーザ増幅の出力飽和に向けた調整運転を続け、利用試験などを経て2011年度末の供用開始を目指している。
日本初のXFEL施設は、欧米のXFEL施設に比べ半分以下のCompact な大きさで、短波長で安定したX線レーザ発振を目指す。また、施設の建設には多くの国内メーカーの協力を得て、日本独自の技術が駆使されている。

研究手法と成果
XFELは、高エネルギーで高品質の電子ビームを、長尺のアンジュレータという磁石列が上下に並んだ装置(全18台)に通してレーザを生成する。レーザの生成に向けた第一歩として、構成機器が設計通りに働くことを確認する必要がある。理研は、電子銃から引き出された電子ビーム特性の確認、その電子ビームの設計エネルギー(8GeV)までの加速、アンジュレータ部を通過させ電子ビームダンプ(最終的に電子を捨てるところ)への電子ビームの輸送、アンジュレータとX線光学・検出系の性能確認、を実施した。
電子銃から引き出される電子ビームの性能の中で、もっとも重要なものは平行性の高い電子の密度。電子銃直下流で1nsの時間幅に切り出した電子ビームの密度をスリットで細かく切り取り、スリットを左右に動かして電子ビーム全体をスキャンする方法で測定。ほぼ設計通りの 1 π mm mradという値であることが確認された。その後、加速器の調整を進め、ほぼ設計ビームエネルギーである7.8GeVまで電子ビームを加速し、アンジュレータ部を経由して、その下流の電子ビームダンプまでビームを輸送することに成功した。 16番目のアンジュレータ1台の上下の磁石列の距離を40から約5 mmへ縮めて277回蛇行させることにより、この電子ビームからX線を放射させ、 これをXFEL実験ホールの光学ハッチに導いた。 二結晶分光器を用いてX線のエネルギー分布の計測を行い、波長が0.8Åであることを確認。さらにXFEL専用に開発された2次元検出器 (マルチポートCCD: MPCCD) を用いて、 分光されたX線の空間プロファイルの撮影に成功。これらの観測結果から、アンジュレータの特性がほぼ設計通りであることも確認した。
今回の試験で、XFELの基本的構成機器の性能が、ほぼ設計通りであることを確認。理研は、「調整の精度をこのまま向上していけば、X線の位相をそろえてレーザ増幅を達成できる見通しが得られた。今後は、2011年度末のXFEL供用開始に向け、レーザ増幅の出力飽和の早期達成と、それに続く利用試験の実施に向け、効率的な運転調整を実施していく」と説明している。

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