All about Photonics

Home > News > News Details

News Details ニュース詳細

ウィーン工科大学の物理学者が光の回転を制御

April 4, 2011, Vienna--ウィーン工科大学(TU Vienna)の研究者が半導体HgTe薄膜で光の回転を制御することに成功した。これは、電流の代わりに光で動作するトランジスタ実現に使える。
ウィーン工科大学の物理学者が、Würzburg大学の研究者と共同で、半導体材料の薄膜を使用して偏光を制御し、操作する方法を開発した。将来の光と偏光についての研究にとってこれは重要な前進。このブレイクスルーによって、全く新しいコンピュータ技術の可能性が開けることさえ考えられる。この実験は、トランジスタの光バージョンと見なせる。実験の結果は、“Physical Review Letters”に掲載されている。

磁界で光を制御
光が強い磁界を持つ材料を通過する時、偏光が変わる。この現象は「ファラデー効果」として知られている。Andrei Pimenov教授は、TU Viennaの固体物理研究所でAlexey Shuvaev助手とともに実験を行った。光とクリーンな半導体を用い、ViennaとWürzburg大学の研究者は、これまでに計測されたよりも数桁強いファラデー効果を達成。現在、光は任意の方向に回転させることができ、偏光方向は外部の磁界で可変できる。「1μm以下の薄膜でこれが達成可能になった。他の材料でこのような薄膜を作製しても、偏光は1°の数分の1も変わらない」とPimenov教授は言う。光が偏光フィルタを透過すると、偏光フィルタは特定の方向の光しか通さないので、光を適切な方向に回転し、光を通すか否かを決めることができる。
この効果のポイントは半導体内の電子の振る舞いにある。光ビームは電子を振動させ、磁界によってその振動が偏向する。電子のこの複雑な動きが光ビームに作用して偏光方向を変えさせる。

光トランジスタ
実験では、半導体の水銀テルライト(HgTe)層が赤外光の光で照射された。「光はテラヘルツドメインの周波数を持つ。将来のコンピュータはそのような周波数で動作する」とPimenov教授は考えている。「何年も前から、コンピュータのクロックレートは、実際には増加していない、材料特性の限界に達しているからだ。可能性のあるソリューションは、電子回路を光素子で補完することだ。エレクトロニクスの基本的な要素であるトランジスタでは、電流は外部の信号によって制御される。TU Viennaでの実験では、光ビームが外部の磁界で制御された。この2つのシステムは非常に似通っている。われわれのシステムを光トランジスタと呼ぶことができる」と同教授は提案している。
コンピュータ用の光回路を考える前に、この新たに発見された効果は今後の研究ツールとして有益であることが実証されると見られている。オプティクスLabsでは、新材料や光の物理学の研究に重要な役割を果たすと期待されている。
(詳細は、Giant Magneto-Optical Faraday Effect in HgTe Thin Films in the Terahertz Spectral Range
Phys. Rev. Lett. 106, 107404 (2011))

製品一覧へ

関連記事

powered by weblio





辞書サイトweblioでLaser Focus World JAPANの記事の用語が検索できます。

TOPへ戻る

Copyright© 2011-2013 e.x.press Co., Ltd. All rights reserved.