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冷却不要の直接変調レーザで40Gbps光伝送に成功

March 16, 2011, 東京--富士通と富士通研究所は、冷却不要の直接変調レーザで40Gbpsの光伝送に成功した。高速動作に適した構造と、駆動電流を低減して高温動作を可能とする構造を組み合わせることで、従来の40Gbpsの伝送光源において消費電力の半分以上を占めていた温度調節素子を不要にした。
大量の情報を光に乗せて高速に伝送する光通信では、電気信号を光信号に変換するために、光強度を変調できる光源が必要になる。変調方式には、半導体レーザへの注入電流を変調する直接変調方式と、半導体レーザの外部に光変調器を用意して変調を行う外部変調方式の大きく2種類があり、主に低速・短距離用では直接変調方式、高速・長距離用では外部変調方式がそれぞれ用いられている。
現在、伝送速度10Gbpsまでは、温度調節素子を必要としない、冷却不要の小型・低消費電力の直接変調レーザが実用化されている。一方、10Gbpsを超える高速伝送では、10km程度までの短距離用でも外部変調方式の電界吸収型変調器集積レーザが用いられている。電界吸収型変調器集積レーザを安定して動作させるには、温度調節素子によって冷却する必要があり、この素子は消費電力の半分以上を占めるため、消費電力の低減が課題になっていた。
今後普及していく大容量の光通信を小型・低消費電力な装置で実現するためには、直接変調方式の半導体レーザを10Gbpsを超える高速領域において冷却不要で動作させる必要がある。そのためには、低駆動電流で高速直接変調を実現させる必要がある。
今回、冷却不要で40Gbps動作する波長1.3μm帯の直接変調レーザを開発した。

高速動作に適した構造
半導体レーザのレーザ光を生み出す活性層に、高速動作に有利なアルミニウム・ガリウム・インジウム・砒素(AlGaInAs)系の多重量子井戸活性層を用い、光の導波路構造として高速化に適した低容量の高抵抗埋め込み構造を採用した。

駆動電流を低減して高温動作を可能とする共振器構造
活性層の長さを100μmと短くし、その前後に反射鏡を集積した共振器構造を新たに開発。直接変調レーザの高速化には、活性層領域の長さを短くすることが有効だが、従来のレーザ構造では、活性層領域の長さを短くすると、駆動電流が増大する問題があった。
今回、短い活性層領域の前後に長さ100μmの高反射率反射鏡(後側)と長さ50μmの低反射率反射鏡(前側)を集積し、光を活性層へフィードバックすることにより、高速変調に必要な駆動電流を低減した。これにより高温動作が可能になり、温度調節素子が不要になった。
今回開発した技術により、25℃から70℃までの動作温度で、40Gbps信号光のシングルモード光ファイバ5km伝送に世界で初めて成功した。
新開発の技術を用いることで、現在の40Gbps伝送光源に用いられている温度調節素子が不要となり、従来と比較して消費電力を2分の1以下に削減することが可能。また、部品点数削減による低コスト化も可能。
富士通は、「今後はさらなる高温動作化や伝送距離の長距離化に向けて、デバイス構造や作製プロセスの改良を進め、実用化に向けた研究開発を推進する」としている。

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