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室温動作のプラズモンレーザを実現する技術
December 27, 2010, Berkeley--カリフォルニア大学バークレイ校の研究者たちがプラズモンレーザの室温動作を可能にする新技術を開発した。これによりプラズモンレーザ実用化の大きな障害を1つ克服したことになる。この成果は、Nature Materials Dec. 19に発表されている。
研究チームの主席研究者、UCバークレイ機械工学教授、ローレンス・バークレイ国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory)研究者、Xiang Zhang氏は、この成果をプラズモンレーザアプリケーションへの「巨歩」と位置づけている。「プラズモンレーザにより、単一分子バイオディテクタ、フォトニックサーキット(光回路)、高速光通信システムなどが実現可能になるが、これを実現するには室温で動作させる方法を見いだす必要があった」。Zhang氏は、国立科学財団(NSF)ナノスケール科学・工学センタプログラムを通じて設立されたUCバークレイのスケーラブル・集積ナノマニュファクチャリングセンタ長でもある。
研究者たちは、最近になってプラズモンレーザに目を向けた。プラズモンレーザは電磁波と電子を結合させることで動作する。金属の表面で振動し、波長の半分、自然の回折限界を遙かに超えたナノスケールのスペースに光を押し込む。昨年、Zhang氏の研究チームは、単一のタンパク質分子程度のサイズ、わずか5nmの幅の可視光を生成するプラズモンレーザを報告した。しかし、そのような最先端の技術を商用化するには大きな壁がある。 論文の共同執筆者、Zhang研究室のポスドク、Renmin Ma氏は、「プラズモンレーザを適切に動作させるには、真空チャンバに封止して冷凍機で10K(-441°F)まで冷やす必要がある。したがって、プラズモンレーザを実用的なアプリケーションに使うことはできなかった」とコメントしている。
これまでの設計では、レーザからの出力光のほとんどが漏れ出してしまうので、研究者はレーザ動作を維持するために残りの光エネルギーを増幅する必要があった。この増幅、利得増のために研究者は材料を極低温に保たなければならなかった。
このリーク光を止めるために研究者たちは、whispering galleryからインスピレーションを得た。whispering galleryとは、ドーム下の閉じられた楕円空間。その中では片方の音波が他方に反射して返ってくる。この反射により、ギャラリーの両端の人々が、あたかも隣同士でいるかのようにお互いに話すことができる(著名な実例:米国議会の国立彫像ホール、ニューヨークのグランドセントラルターミナル、サンフランシスコシティーホールのロタンダ)。
跳ね返る音波の代わりに研究者たちは全反射法を利用して方形ナノデバイス内で表面プラズモンを跳ね返らせた。硫化カドミウム(CdS)方形は、厚さ45nm、長さ1μm、これを銀基板上に置き、フッ化マグネシウムの5nmのギャップで分離している。
出力光は18倍に強化され、研究チームは光を約20nmの空間(波長の1/20サイズ)に閉じ込めた。放射損失を制御することで、液体ヘリウムで冷却した真空中にデバイスを入れることはもはや不要になった。レーザは室温で動作した。
「光と物質との相互作用レートが大幅に改善されたので、非常に弱い信号でも観察できるようになる」とMa氏はコメントしている。「一個のタンパク質のモードサイズを持つレーザは、通信や生物医学診断の超コンパクト光源というアプリケーション実現への重要な節目となる。現在の方形プラズモンキャビティは、コンパクトな光源としてだけでなく、Add/Dropフィルタや方向性結合器、変調器などの集積回路における機能ビルディングブロックの重要コンポーネントにもなり得る。」
研究者たちは、最近になってプラズモンレーザに目を向けた。プラズモンレーザは電磁波と電子を結合させることで動作する。金属の表面で振動し、波長の半分、自然の回折限界を遙かに超えたナノスケールのスペースに光を押し込む。昨年、Zhang氏の研究チームは、単一のタンパク質分子程度のサイズ、わずか5nmの幅の可視光を生成するプラズモンレーザを報告した。しかし、そのような最先端の技術を商用化するには大きな壁がある。 論文の共同執筆者、Zhang研究室のポスドク、Renmin Ma氏は、「プラズモンレーザを適切に動作させるには、真空チャンバに封止して冷凍機で10K(-441°F)まで冷やす必要がある。したがって、プラズモンレーザを実用的なアプリケーションに使うことはできなかった」とコメントしている。
これまでの設計では、レーザからの出力光のほとんどが漏れ出してしまうので、研究者はレーザ動作を維持するために残りの光エネルギーを増幅する必要があった。この増幅、利得増のために研究者は材料を極低温に保たなければならなかった。
このリーク光を止めるために研究者たちは、whispering galleryからインスピレーションを得た。whispering galleryとは、ドーム下の閉じられた楕円空間。その中では片方の音波が他方に反射して返ってくる。この反射により、ギャラリーの両端の人々が、あたかも隣同士でいるかのようにお互いに話すことができる(著名な実例:米国議会の国立彫像ホール、ニューヨークのグランドセントラルターミナル、サンフランシスコシティーホールのロタンダ)。
跳ね返る音波の代わりに研究者たちは全反射法を利用して方形ナノデバイス内で表面プラズモンを跳ね返らせた。硫化カドミウム(CdS)方形は、厚さ45nm、長さ1μm、これを銀基板上に置き、フッ化マグネシウムの5nmのギャップで分離している。
出力光は18倍に強化され、研究チームは光を約20nmの空間(波長の1/20サイズ)に閉じ込めた。放射損失を制御することで、液体ヘリウムで冷却した真空中にデバイスを入れることはもはや不要になった。レーザは室温で動作した。
「光と物質との相互作用レートが大幅に改善されたので、非常に弱い信号でも観察できるようになる」とMa氏はコメントしている。「一個のタンパク質のモードサイズを持つレーザは、通信や生物医学診断の超コンパクト光源というアプリケーション実現への重要な節目となる。現在の方形プラズモンキャビティは、コンパクトな光源としてだけでなく、Add/Dropフィルタや方向性結合器、変調器などの集積回路における機能ビルディングブロックの重要コンポーネントにもなり得る。」