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フラウンホーファーILT、平均出力1.1kWのフェムト秒レーザ実現

December 24, 2010, Aachen--フラウンホーファーレーザテクノロジーILTの研究者たちが、フェムト秒レーザ(fs laser)の増幅コンセプトを開発。その結果、初めてkWレンジの平均出力達成が可能になった。フェムト秒レーザの短パルスは、超高精度材料加工を可能にする。高い平均出力により、生産スループットが著しく向上する。
 CWレーザは切断や溶接に使用されることが多いが、パルスレーザは主にアブレーションに使用される。
 パルスレーザは、パルスが短ければ短いほど益々熱侵入度が小さくなり、材料表面の温度が高くなり、材料加工の精度が向上する。材料アブレーションは主に気化を通じて起こる。フェムト秒レーザのパルスが短くなることで、アブレーション加工時の精度が増す。
 フェムト秒レーザは、まだ産業生産に根付いていないが、平均出力を高くしたフェムト秒レーザが市販されるようになると、この状況は変わる。スループットが向上し、メンテナンスコストが低下し、使いやすくなる。フラウンホーファーILTの研究者たちは、ついにkWレンジのフェムト秒レーザ実現に成功した。これは、フェムト秒レーザの産業利用拡大の第一歩となる。
 増幅器設計は、INNOSLAB技術をベースにしている。このフラウンホーファーILTの内製技術は、シンプル、ロバスト、コンパクトな構造で特徴付けられる。Aachenの研究者たちは、アクティブメディアにYbドープYAGを用いることでアンプデザインを拡張。帯域を拡大したことで超短パルスの増幅が可能となった。Yb添加の結晶は励起光源に対する要求が厳しいので、ブリリアントポンプダイオードが市販されるようになって初めて今回の前進が可能となった。また、オシレータ-アンプリファイアシステムによって、繰り返しレートとパルス幅に関して柔軟性が改善された。これは、パルス生成用に平均出力2W程度のファイバレーザと固体レーザをベースにした様々なフェムト秒レーザが市販されるようになったためだ。
 フラウンホーファーILTのプロジェクトリーダ、Dr. Peter Rußbüldtは、2つのINNOSLABアンプをカスケードにした。この方法により、アンプの連鎖で平均出力1.1kWを生成できるようになった。ピークパルスパワーは80MW、パルス幅は600fs。このようにしてAachenの研究者たちは新たな記録を樹立した。
 教育科学研究技術省(BMBF)が資金を提供する、マックスプランク研究所(量子光学)との共同プロジェクトの本来の目的は科学応用、コヒレントEUVの生成だった。プロジェクト期間中、研究者たちはフラウンホーファーILTでレーザの開発を継続。この新しい出力パワーのお陰でフェムト秒レーザは、複雑な科学のオモチャというイメージから抜け出した。
 フラウンホーファーILTは、SPIE Photonics West(1月25-27, 2011)で光コンポーネントの高精度アセンブリ技術を紹介する。
(詳細は、www.ilt.fraunhofer.de)

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