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量子暗号ネットワークの試験運用開始

October 15, 2010, 東京--情報通信研究機構(NICT)量子ICTグループはNICTの委託研究機関である日本電気 NEC)、三菱電機、日本電信電話 (NTT)と共に、NICTのテストベッドJGN2plus上に量子暗号ネットワークを構築し、試験運用を開始した。
 都市圏の敷設光ファイバ網では世界初となる盗聴不可能な多地点テレビ会議システムを構築し、安定動作や経路制御等の試験と性能評価を行う。この試験運用には東芝やヨーロッパの研究機関も参加し、標準化に向けた相互接続実験も行う。
 今後、今年度中はこの運用を続け、来年度には一部改善したシステムで運用を続け、同技術を先ずは国家レベルの機密通信に、さらに電力・ガス・水道網などの重要インフラを監視する通信保護や金融機関の秘匿通信等に順次適用できるよう取り組んでいく。
 量子暗号は、理論上どのような技術でも盗聴できない究極の暗号技術。その方法はまず、送り手と受け手に量子鍵配送装置を用意し、光回線を介して盗聴を完全に排除した絶対安全な秘密鍵を共有し、次にその鍵を用いて送りたい情報をワンタイムパッドにより暗号化する。量子鍵配送は極めて高度な技術で、実用化には多くの課題があり、これまでのアメリカ国防総省や欧州連合のプロジェクトでは、音声データの暗号化が限界で、伝送距離も敷設光ファイバで数10km程度が限界だった。日本では2001年からNICTの産学官連携プロジェクトにより、都市圏で完全秘匿なテレビ会議が実現できる世界最高速の量子鍵配送技術の研究開発に取り組んできた。
 今回、NICT、NEC、三菱電機、NTTは、JGN2plus上の4拠点に量子鍵配送装置を設置し、10kmから最長90kmまで複数の回線パターンからなる量子暗号ネットワークを構築し、様々な盗聴攻撃の検知実験、及び完全秘匿な多地点テレビ会議システムの試験運用を行う。秘密鍵の生成速度は45kmの光ファイバ回線で毎秒約10万ビットと、実環境では世界最高速。また、併せて、国際標準化に向け、東芝やヨーロッパの研究機関のシステムとの相互接続実験も行う。
 この試験運用を通じて装置の改良を進め、まず国家レベルの機密通信、次に電力・ガス・水道網などの重要インフラの通信保護や金融機関の秘匿通信等への適用を目指す。さらに、高速化・長距離化可能な次世代量子暗号技術及び現代暗号との統合運用技術の研究開発を進め、最終的には、既存の光ファイバインフラ上でニーズとコストに応じた柔軟なセキュリティサービスを提供できる新しいセキュアネットワーク技術の研究開発に取り組んでいく。
(詳細は、10月18〜20にANAインターコンチネンタルホテル東京にて開催される量子暗号・量子通信国際会議UQCC2010において、デモを交え紹介する予定)

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