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日立、フィン型構造のシリコン発光ダイオードで光増幅現象を観測
September 27, 2010, 東京--日立製作所(日立) は、シリコンレーザの実現に向けて、シリコン基板上に1,000個以上の極薄シリコン膜(量子井戸)を垂直に並べたフィン型構造のシリコン発光ダイオードを考案し、レーザ発振を可能にする条件の1つである光増幅現象を観測した。
日立は、これまで、2006年に半導体の上に1つの極薄シリコン膜をのせた単一量子井戸構造を持つ極薄シリコン素子でシリコン発光現象を、2008年には光増幅現象をそれぞれ観測している。今回のフィン型構造による光増幅現象の観測は、シリコン発光量を実用レベルまで高めるために必須となる多重量子井戸構造を応用した、初めての成果であり、開発したフィン型シリコン発光ダイオードは量産にも適している。今後、さらに大きな光増幅を実現できればシリコンレーザ実現への道が拓ける。
半導体材料に広く用いられているシリコンを使用したシリコンレーザが実現できれば、半導体のチップ内やチップ間のデータ転送を電気信号による伝送から、高速・低損失な光伝送に置き換えられるため、サーバをはじめとするIT機器の飛躍的な高性能化、省電力化が可能になると期待されている。しかし、シリコンは、材料の特性上発光させることが難しく、発光させるためには、量子効果が現れるほど微細なナノ構造をつくる必要があった。日立では、2006年以降、厚さ数nmからなる極薄のシリコン薄膜に電流を注入して自発光させるシリコン発光ダイオードの研究に取り組んでいる。2008年には単一量子井戸構造を光共振器の中に取り入れ、極薄シリコン発光素子で初めて光増幅現象の観測に成功。2009年には、量子力学シミュレーションによって、2008年の観測結果の検証を理論面から行った。
シリコン発光で観測された光増幅をさらに高め、可干渉性のある光を放出できれば、シリコンレーザの発振が起きるが、従来の単一量子井戸構造を持つ素子構造では十分な光増幅が得られないことから、単一量子井戸構造を近接して重ね合わせた多重量子井戸構造を光共振器の中に形成して、発光効率を高める必要があった。
このような背景から、日立は、多重量子井戸構造を形成するために、極薄シリコン膜をシリコン基板に垂直に1,000個以上並べたフィン型のシリコン発光ダイオードを試作。試作したフィン型シリコン発光ダイオードは、リソグラフィとドライエッチングを用いて、1つの素子内にフィンを1,000個以上一括形成したフィン型構造。エッチング直後のフィン幅は20nmだが、これを酸化することによって、最終的に約1nmにまで薄膜化。また、形成したシリコン・フィン上にシリコン窒化膜からなる光導波路を形成し、シリコン・フィン型発光ダイオードから発光した光を導波路に閉じ込めることによって、発光効率を高めた。
今回試作したフィン型シリコンダイオードを用いて動作検証を行い、電流注入によって発光、そこから生じた光は導波路を伝搬して導波路端部からの放射されることを確認。さらに、発光スペクトルの詳細な解析の結果、光の増幅が行なわれていることも確認した。
また、試作したフィン型シリコン発光ダイオードは、日立が独自に開発した次世代トランジスタの候補の1つであるフィン型電界効果トランジスタ (FinFET)との整合性が高く、同一基板上に容易に集積化することが可能で量産性に適している。シリコン基板上に、フィン型シリコン発光ダイオードとFETを集積化した光電子融合チップが可能となれば、サーバをはじめとするIT機器の小型化、高性能化、省電力化への貢献が期待できる。
日立は、これまで、2006年に半導体の上に1つの極薄シリコン膜をのせた単一量子井戸構造を持つ極薄シリコン素子でシリコン発光現象を、2008年には光増幅現象をそれぞれ観測している。今回のフィン型構造による光増幅現象の観測は、シリコン発光量を実用レベルまで高めるために必須となる多重量子井戸構造を応用した、初めての成果であり、開発したフィン型シリコン発光ダイオードは量産にも適している。今後、さらに大きな光増幅を実現できればシリコンレーザ実現への道が拓ける。
半導体材料に広く用いられているシリコンを使用したシリコンレーザが実現できれば、半導体のチップ内やチップ間のデータ転送を電気信号による伝送から、高速・低損失な光伝送に置き換えられるため、サーバをはじめとするIT機器の飛躍的な高性能化、省電力化が可能になると期待されている。しかし、シリコンは、材料の特性上発光させることが難しく、発光させるためには、量子効果が現れるほど微細なナノ構造をつくる必要があった。日立では、2006年以降、厚さ数nmからなる極薄のシリコン薄膜に電流を注入して自発光させるシリコン発光ダイオードの研究に取り組んでいる。2008年には単一量子井戸構造を光共振器の中に取り入れ、極薄シリコン発光素子で初めて光増幅現象の観測に成功。2009年には、量子力学シミュレーションによって、2008年の観測結果の検証を理論面から行った。
シリコン発光で観測された光増幅をさらに高め、可干渉性のある光を放出できれば、シリコンレーザの発振が起きるが、従来の単一量子井戸構造を持つ素子構造では十分な光増幅が得られないことから、単一量子井戸構造を近接して重ね合わせた多重量子井戸構造を光共振器の中に形成して、発光効率を高める必要があった。
このような背景から、日立は、多重量子井戸構造を形成するために、極薄シリコン膜をシリコン基板に垂直に1,000個以上並べたフィン型のシリコン発光ダイオードを試作。試作したフィン型シリコン発光ダイオードは、リソグラフィとドライエッチングを用いて、1つの素子内にフィンを1,000個以上一括形成したフィン型構造。エッチング直後のフィン幅は20nmだが、これを酸化することによって、最終的に約1nmにまで薄膜化。また、形成したシリコン・フィン上にシリコン窒化膜からなる光導波路を形成し、シリコン・フィン型発光ダイオードから発光した光を導波路に閉じ込めることによって、発光効率を高めた。
今回試作したフィン型シリコンダイオードを用いて動作検証を行い、電流注入によって発光、そこから生じた光は導波路を伝搬して導波路端部からの放射されることを確認。さらに、発光スペクトルの詳細な解析の結果、光の増幅が行なわれていることも確認した。
また、試作したフィン型シリコン発光ダイオードは、日立が独自に開発した次世代トランジスタの候補の1つであるフィン型電界効果トランジスタ (FinFET)との整合性が高く、同一基板上に容易に集積化することが可能で量産性に適している。シリコン基板上に、フィン型シリコン発光ダイオードとFETを集積化した光電子融合チップが可能となれば、サーバをはじめとするIT機器の小型化、高性能化、省電力化への貢献が期待できる。