関連イベント
関連雑誌
News Details ニュース詳細
単一光子源による50kmの量子暗号鍵伝送に成功
September 13, 2010, 東京--東京大学 ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構(東大)と富士通研究所(富士通研)、日本電気(NEC)は共同で、単一光子源を用いた方式で世界最長となる50kmの量子暗号鍵伝送実験に成功した。
これは、東大-富士通研-NECのトライアングル連携のもと、光通信波長帯で最高性能の単一光子源と、実用レベルの量子暗号システムプロトタイプを融合することにより、実現した成果。1.5μm帯単一光子源による今回の実用レベルの実験成功により、伝送距離性能などで最も期待される1.5μm帯単一光子源による量子暗号方式の実用化にめどをつけ、新たな段階を迎えたといえる。
今回の研究開発成果
単一光子源による量子暗号鍵伝送実験の成功: 東大-富士通研-NEC3者が連携し、新たな1.5μm 帯単一光子源と実用レベルの量子暗号システムを融合した新システムを開発し、量子暗号鍵伝送実験を共同で実施した。さらに安全性理論に基づく解析により、1.5μm帯単一光子伝送による50kmの安全鍵伝送を実証し、量子ドット単一光子源が量子暗号システムの光源として実用的に使用可能なことを明らかにした。この成功は下記の2つの技術開発が鍵になっている。
1. 長距離伝送に適した高性能単一光子源の開発
今回開発したのは、量子ドットと呼ばれるナノメートルサイズの半導体微結晶から、波長1.5μmの単一光子のみを高効率に生成させる技術。量子ドットを光学的ホーン構造の中に配置し、さらに量子ドットの離散化したエネルギー準位の1つに光照射の波長を精度良く合わせることで、電子と正孔1組のみを確実に生成する制御技術を確立した。これにより単一光子生成効率が5.8%、ノイズとなる複数光子の同時発生確率が減衰レーザ光の約20分の1といずれも光通信波長帯で最も高性能な単一光子源を開発した。
2. 単一光子光源に最適化した量子暗号システムの開発
NECがかつて敷設済みの97km光ファイバによる鍵伝送フィールドテストに用いた平面光回路をベースに、今回、単一光子源に最適化した低損失な干渉光学系を新規開発した。合わせて量子ビットの符号化方式であるタイムビンコーディング光子伝送を採用することにより、偏波を含めた伝送路の乱れに左右されにくい実用に近い新量子暗号システムを実現した。全システムは同期信号生成装置から生成される同期信号によりタイミングを合わせて駆動する。特に送信者と受信者の間は同期にレーザ光を用い、信号光と合わせて2芯のファイバで伝送するという、量子暗号鍵伝送の実用的システムを実現した。
3研究機関は今後、単一光子源などを含めたシステムのさらなる性能向上を図り、5〜10年後のシステム実用化に目処をつける。また、今回、光励起方式の単一光子源を用いたが、電流注入型1.5μm帯単一光子源も開発しており、将来的にはよりコンパクトで簡便な量子暗号通信システムの発展にも寄与できる、としている。
(詳細は、www.nec.co.jp)
これは、東大-富士通研-NECのトライアングル連携のもと、光通信波長帯で最高性能の単一光子源と、実用レベルの量子暗号システムプロトタイプを融合することにより、実現した成果。1.5μm帯単一光子源による今回の実用レベルの実験成功により、伝送距離性能などで最も期待される1.5μm帯単一光子源による量子暗号方式の実用化にめどをつけ、新たな段階を迎えたといえる。
今回の研究開発成果
単一光子源による量子暗号鍵伝送実験の成功: 東大-富士通研-NEC3者が連携し、新たな1.5μm 帯単一光子源と実用レベルの量子暗号システムを融合した新システムを開発し、量子暗号鍵伝送実験を共同で実施した。さらに安全性理論に基づく解析により、1.5μm帯単一光子伝送による50kmの安全鍵伝送を実証し、量子ドット単一光子源が量子暗号システムの光源として実用的に使用可能なことを明らかにした。この成功は下記の2つの技術開発が鍵になっている。
1. 長距離伝送に適した高性能単一光子源の開発
今回開発したのは、量子ドットと呼ばれるナノメートルサイズの半導体微結晶から、波長1.5μmの単一光子のみを高効率に生成させる技術。量子ドットを光学的ホーン構造の中に配置し、さらに量子ドットの離散化したエネルギー準位の1つに光照射の波長を精度良く合わせることで、電子と正孔1組のみを確実に生成する制御技術を確立した。これにより単一光子生成効率が5.8%、ノイズとなる複数光子の同時発生確率が減衰レーザ光の約20分の1といずれも光通信波長帯で最も高性能な単一光子源を開発した。
2. 単一光子光源に最適化した量子暗号システムの開発
NECがかつて敷設済みの97km光ファイバによる鍵伝送フィールドテストに用いた平面光回路をベースに、今回、単一光子源に最適化した低損失な干渉光学系を新規開発した。合わせて量子ビットの符号化方式であるタイムビンコーディング光子伝送を採用することにより、偏波を含めた伝送路の乱れに左右されにくい実用に近い新量子暗号システムを実現した。全システムは同期信号生成装置から生成される同期信号によりタイミングを合わせて駆動する。特に送信者と受信者の間は同期にレーザ光を用い、信号光と合わせて2芯のファイバで伝送するという、量子暗号鍵伝送の実用的システムを実現した。
3研究機関は今後、単一光子源などを含めたシステムのさらなる性能向上を図り、5〜10年後のシステム実用化に目処をつける。また、今回、光励起方式の単一光子源を用いたが、電流注入型1.5μm帯単一光子源も開発しており、将来的にはよりコンパクトで簡便な量子暗号通信システムの発展にも寄与できる、としている。
(詳細は、www.nec.co.jp)