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光ファイバを用いた新しいイオントラップ

July 15, 2010, Boulder--米国標準技術局(NIST)の物理学者は、ファイバを組み込んだイオントラップが、シングルイオンから発せられる光を捉えることができることを実証した。これは、イオンに蓄積された量子情報が計測できるようになることにつながる。
 この前進によって量子コンピュータの設計が簡単になり、将来の量子ネットワークでの物質と光との間の情報スワッピングに一歩近づいたことになる。
 この新しいデバイスはPhysical Review Lettersに掲載されている。同デバイスは、光ファイバを組み込んだ1mm2のイオントラップ。著者たちは、イオンを量子ビット(qubits)として用いて実験室の量子コンピューティングで情報を蓄積しようとしている。イオンは、光ファイバから80〜100μmの位置に調整して置くことができ、光ファイバはqubit情報を持つイオンの蛍光を検知する。
 NISTのポスドク研究者、筆頭著者、Aaron VanDevender氏は、「この設計は、イオンとファイバが密接に結合した状態にあるので便利だ。加えて、小さいので、チップ上に多くのファイバをもってくることができる」とコメントしている。
 NISTの研究者は、マグネシウムイオンを用いてこの新しいデバイスを実証した。イオンから発する光は電極の穴を通り抜け、電極表面の下のファイバで捉えられる。対照的に、従来のイオントラップは、イオンの蛍光を捉えるために、イオンから5cmほど離れたところに置いた大きな外部レンズを用いる。これはファイバタイプとの比較では約500倍も離れている。光ファイバは、大きな光システムと比べると膨大な数のイオンを遙かに簡単に取り扱える可能性がある。多くのファイバが1つのイオントラップに取り付けられるからだ。
 現状、ファイバを用いる方法では、レンズシステムと比べると捉える光は少ないが、量子情報の検知には十分だ。というのは、「イオンは極めて明るく、1秒間に数百万のフォトンを出しているからだ」とVanDevender氏は言う。著者たちは、ファイバ先端の形状を整え、表面にARコートを施すことで効率が上がると見ている。この新しいトラップデザインは、最終的にはイオンとフォトンとにペアを組ませるためのプロトタイプとなるもので、量子コンピューティングや通信ネットワークで物質のqubitsとフォトンqubitsとの情報交換を可能にするインタフェースとなる。

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