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阪大と物質材料研、情報を記憶する光ナノセンサーの開発に成功
July 15, 2010, 大阪--大阪大学と物質材料・研究機構の共同研究グループは、究極サイズの光・電気信号変換素子「光原子スイッチ」を開発した。
研究グループのメンバーは、大阪大学大学院理学研究科、田中啓文助教、日野貴美研究員、小川琢治教授と物質・材料研究機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の青野正和拠点長、長谷川剛主任研究者。同研究グループは、原子スイッチの電極間材料に光導電性分子を用いることで、光信号から電気信号への変換とそれによる原子スイッチ動作を実現。その結果、光信号の検出と記憶を単一のナノスケール素子で実現することに成功した。極低消費電力で動作する光原子スイッチを集積化した人工眼や、原子スイッチの学習機能を利用した画像認識システムなどへの応用が期待される。
ユビキタス情報化社会実現には、人間や環境とのインタフェース機能を備えた高度電子情報端末の開発が不可欠となっている。画像認識システムもその1つであり、「小型」で「低消費電力」で動作するシステムの開発が求められている。従来の画像認識システムでは、光信号の検出、その記憶、画像認識処理は、それぞれ異なる素子(あるいは回路)によって行われていた。これらの機能を単一のナノスケール素子で実現することが出来れば、その集積化によって高機能な画像認識機能を備えた人工眼などを実現することも可能になる。
研究チームは、原子スイッチの電極間材料として新たに光導電性分子を用いることで、光信号を入力として動作する原子スイッチの開発に成功した。原子スイッチは、微小なギャップを隔てた金属電極と固体電解質電極からなり、固体電気化学反応によって固体電解質電極から析出した原子が電極間を架橋することで動作する。従来の原子スイッチでは、電極間隔をわずか1nmにすることで固体電気化学反応に必要な微弱な電流を確保していた。今回開発した光原子スイッチでは、電極間に光導電性分子膜を形成することで、光照射によって光導電性分子膜に誘起される微弱な電流(光電流)を固体電気化学反応の制御に用いるようにした。
その結果、光信号を入力とする原子スイッチの動作(電極間における金属原子架橋の形成)に成功した。光照射によって形成された金属原子架橋は光照射後も安定に存在するので、光原子スイッチは不揮発性素子として動作し、光信号の有無を記憶する。動作条件を制御することで架橋の消滅(スイッチオフ)が可能なことも確認。固体電気化学反応の制御は数mVの電圧でも可能なことから、今回開した光原子スイッチをフレキシブル薄膜材料上に集積化することで、人体の電位を利用して動作する人工網膜などを開発できる可能性がある。波長選択性の光導電性分子を用いれば、色の識別も可能になる。また、従来の電圧駆動型の原子スイッチでは、入力回数が同じでも頻度に応じて記憶状態が変わるという特徴(学習機能)が確認されており、今回の成果とこれらの機能を複合させることで、最も頻繁に現れた人間の顔のみを記憶するような学習型画像認識システムの開発も可能になると期待される。
この研究成果は、ドイツの科学雑誌Small にオンライン掲載される予定。
研究グループのメンバーは、大阪大学大学院理学研究科、田中啓文助教、日野貴美研究員、小川琢治教授と物質・材料研究機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の青野正和拠点長、長谷川剛主任研究者。同研究グループは、原子スイッチの電極間材料に光導電性分子を用いることで、光信号から電気信号への変換とそれによる原子スイッチ動作を実現。その結果、光信号の検出と記憶を単一のナノスケール素子で実現することに成功した。極低消費電力で動作する光原子スイッチを集積化した人工眼や、原子スイッチの学習機能を利用した画像認識システムなどへの応用が期待される。
ユビキタス情報化社会実現には、人間や環境とのインタフェース機能を備えた高度電子情報端末の開発が不可欠となっている。画像認識システムもその1つであり、「小型」で「低消費電力」で動作するシステムの開発が求められている。従来の画像認識システムでは、光信号の検出、その記憶、画像認識処理は、それぞれ異なる素子(あるいは回路)によって行われていた。これらの機能を単一のナノスケール素子で実現することが出来れば、その集積化によって高機能な画像認識機能を備えた人工眼などを実現することも可能になる。
研究チームは、原子スイッチの電極間材料として新たに光導電性分子を用いることで、光信号を入力として動作する原子スイッチの開発に成功した。原子スイッチは、微小なギャップを隔てた金属電極と固体電解質電極からなり、固体電気化学反応によって固体電解質電極から析出した原子が電極間を架橋することで動作する。従来の原子スイッチでは、電極間隔をわずか1nmにすることで固体電気化学反応に必要な微弱な電流を確保していた。今回開発した光原子スイッチでは、電極間に光導電性分子膜を形成することで、光照射によって光導電性分子膜に誘起される微弱な電流(光電流)を固体電気化学反応の制御に用いるようにした。
その結果、光信号を入力とする原子スイッチの動作(電極間における金属原子架橋の形成)に成功した。光照射によって形成された金属原子架橋は光照射後も安定に存在するので、光原子スイッチは不揮発性素子として動作し、光信号の有無を記憶する。動作条件を制御することで架橋の消滅(スイッチオフ)が可能なことも確認。固体電気化学反応の制御は数mVの電圧でも可能なことから、今回開した光原子スイッチをフレキシブル薄膜材料上に集積化することで、人体の電位を利用して動作する人工網膜などを開発できる可能性がある。波長選択性の光導電性分子を用いれば、色の識別も可能になる。また、従来の電圧駆動型の原子スイッチでは、入力回数が同じでも頻度に応じて記憶状態が変わるという特徴(学習機能)が確認されており、今回の成果とこれらの機能を複合させることで、最も頻繁に現れた人間の顔のみを記憶するような学習型画像認識システムの開発も可能になると期待される。
この研究成果は、ドイツの科学雑誌Small にオンライン掲載される予定。