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富士通と東大、量子ドットレーザで25Gbpsの高速データ通信を実現

May 21, 2010, 東京--富士通、富士通研究所、東京大学は、次世代の半導体レーザとして期待されている量子ドットレーザで、世界初の25Gbpsの高速データ通信を実現した。
 量子ドットの数を増加させるとレーザの動作速度が向上することから、従来より高密度に面内配列した量子ドットを多層積層することにより、2倍の動作速度を達成した。これにより、現行の10倍となる100Gbpsのデータ量の送受信を目指す次世代高速データ通信の光源としての適用が期待される。
 量子ドットレーザは、富士通および富士通研究所が、東京大学の荒川研究室との産学連携にもとづいて開発した、大きさがナノメートル(nm)サイズの半導体微粒子(量子ドット)を発光部に適用した半導体レーザ。量子ドットレーザは、温度変化にともなうレーザの光出力の変動を大幅に低減できるほか、低消費電力・長距離伝送・高速などの点で、従来の半導体レーザを凌駕する画期的な特性を持ち、情報トラフィックが飛躍的に増加している光通信において、今後高性能な光源を実現する中核技術となることが期待されている。
 量子ドットレーザの速度を上げるためには、レーザの光利得を増やす必要があり、そのためには、元となる量子ドットの数を増加させることが必要になる。今回新たな量子ドット作製技術を開発し、これを適用することで、25Gbpsの高速動作が可能な量子ドットレーザを開発した。
 量子ドットは、高真空中に置かれたGaAs基板の上にInとAsの原子ビームを照射して作製する。基板上でInAsを結晶化させる場合、原子間の距離がGaAsと比べて大きいため歪みが発生するが、その歪を解放するように、3次元結晶化する。この3次元ナノ結晶の1個1個が量子ドットとして働く。
 今回、量子ドットの3次元結晶化のための成長条件を最適化させたことで、面内方向に従来の2倍の1cm2あたり6×1010個の量子ドットを高密度に形成する技術を開発。また、面内方向の高密度配列を維持したまま、従来の5層から8層まで多層化積層する技術も開発した。
 上記技術を利用して作製することで、量子ドットの数を増加させることができるため、光利得が向上し、この活性層を適用した量子ドットレーザで、世界初の25Gbps高速変調動作を実証した。
 開発した技術を用いることで、100GbEをはじめ、さまざまな次世代高速データ通信において、温度安定かつ低消費電力な量子ドットレーザ光源を利用することが可能となる。また、温度コントローラー内蔵の高価なパッケージが不要となり、低コスト化を促進する。
 技術の詳細は、米国サンノゼで開催された国際会議「CLEO/QELC2010 (The Conference on Lasers and Electro-Opticsand The Quantum Electronics and Laser Science Conference」で発表されている。

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