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ハードウェア処理で高速化した量子暗号鍵抽出システム開発

April 19, 2010, 東京--NECと情報通信研究機構(NICT)は、究極の暗号通信技術である量子暗号技術において、従来課題となっていた暗号鍵抽出の高速化をハードウェア処理により実現したシステムを、世界で初めて開発した。
 同システムにより、暗号鍵の抽出速度を、従来のソフトウェアでの処理に比べ100倍以上高速化できるため、より高速な量子暗号通信が可能になる。
 今回開発したシステムは、ATCA準拠の専用基板上で、FPGAを動作することで、暗号鍵抽出の高速化を実現したもの。同システムにより、50km圏内の光ファイバ網では、厳密な安全性を保ったままMPEG等の動画配信に必要なMbps級の暗号鍵をリアルタイムかつ継続して生成できるため、安全かつ高速な量子暗号通信を実現することができる。

高速暗号鍵抽出システムの特長
1. 暗号鍵の秘匿に必要な行列の演算処理を高速化: 暗号鍵の秘匿性を確保するために必要な大規模行列演算では、高い安全性を確保するために、数百kbitのサイズでの行列演算が必要。この演算速度を実現するために、ハードウェア実装に適した行列構成を採用し、パイプライン処理を最適化することで、従来のソフトウェア処理と比較して100倍以上の高速化を実現。
2. 高速・高効率な誤り訂正を実現: 暗号鍵中に存在する誤りを訂正する"誤り訂正処理"において、最大1Mbitの符号長まで対応、最大9%の誤り率まで訂正可能なLDPC符号をハードウェアで実装。これにより、従来のソフトウェア処理と比較して100倍以上の速度で共有暗号鍵の誤り訂正を実現。

 量子暗号通信技術では、伝送路での盗聴を完全に検知できることから絶対安全な暗号鍵配信を実現でき、ワンタイムパッドと組み合わせることで将来の如何なる技術を用いても不正解読されない暗号通信を実現できる。しかし、これまでの量子暗号技術ではソフトウェアで暗号鍵の抽出処理を行っており、完全な無条件安全証明に必須である、長い符号長でのリアルタイム処理が実現されていないため、より高いセキュリティを実現するために、高速暗号鍵抽出技術が求められていた。今回の高速暗号鍵抽出システムは、このようなニーズに応えている。

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