Laser Focus World JAPAN　レーザーフォーカスワールドジャパン

February 22, 2010, 東京--NECとNECエレクトロニクスは、USB3.0やPCI Expressなど5Gbpsの現行のチップ間通信インタフェースの速度を、既存の通信方式で従来比3倍に高速化する通信インタフェースの基本回路技術を開発し、その基本動作を実証した。
近年、ハイビジョンや3Dの動画コンテンツの登場など、個人が扱うデータ量は増大の一途にあり、機器内・機器間通信の高速化が益々求められている。USB3.0やPCI Expressの次世代となる10Gbpsを超える高速通信を実現するためには、データ波形の大きな歪みに対応するため、これまで多値伝送などの複雑な通信方式の活用が検討されてきた。しかし、これら複雑な通信方式は、現行の通信技術との互換性を保つことができないため実用化を困難にしていた。
両者が開発した技術は、データ通信速度が高速化した際に生じるデータ波形の歪みを、現在多くの通信規格で利用されている2値伝送方式のまま補正する技術。これにより、1または0のデジタルデータを正しく高速に受信し、従来の約3倍の16Gbpsの通信速度を実現する。この技術により、次世代通信速度と現行通信速度を一つのインタフェースチップで対応することが可能となり、低面積・低消費電力・低コストでシンプルなチップ間通信インタフェースが実現できる。

データ補正技術
従来のフィードバック型データ波形歪み補正は、直前に受信したデジタルデータを受信中のデータ波形に戻すこと(feedback)でデータ波形歪みの補正を行っていた。また、データ通信速度が高速化すると、直前に受信したデジタルデータを受信中のデータ波形に戻すために使ってよい時間（フィードバック許容時間）が短くなり、このフィードバック型データ波形歪み補正の実現を困難にしていた。開発技術は、入力信号であるデータ波形を1ビット期間遅延させてそれを今のデータ波形に反映(feed-forward）する動作を、従来のフィードバック型データ波形歪み補正に融合することで、先のフィードバック許容時間を2倍以上長くすることを可能とする。
NECとNECエレクトロニクスは、｢技術が次世代の超高速通信につながる基本技術になると考え、早期商品化を目指し研究開発をさらに進める｣としている。
この成果は、2月7日から11日まで、米国サンフランシスコで開催された半導体回路技術の国際会議「ISSCC2010（International Solid-State Circuits Conference）」においてされた。