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Caltech、シリコンワイヤアレイで高吸収・柔軟な太陽電池開発

February 18, 2010, Pasadena--カリフォルニア工科大学(Caltech)の研究チームは、ポリマ基板上の長くて薄いシリコンワイヤアレイを使用して、太陽光の吸収を高め、フォトンからエレクトロンへの変換効率が優れた、新しいタイプの柔軟な太陽電池を作製した。この太陽電池が必要とする半導体材料は、従来タイプの太陽電池と比べると極めて少ない。
 同大学の応用物理/材料科学Howard Hughes教授、Harry Atwater氏によると、これらの太陽電池は、吸収材料が光を捉える従来の限界を初めて超えた。材料の光取り込み限界とは、材料がどの程度の太陽光を吸収できるかということを指している。シリコンワイヤアレイは、1波長で入射光の96%までを吸収し、集光可能な太陽光全体の85%を吸収する。Atwater氏は、「われわれは光マイクロストラクチャを超えた」と言う。
 同教授は、「光をよく吸収する材料は多いが、電気を生成できない材料も多い。例えば、黒い塗料だ。太陽電池で最も重要なことは、電荷担体を作ることだ」と説明している。
 Atwater教授の研究チームが開発したシリコンワイヤアレイは、吸収したフォトンを90~100%の間でエレクトロンに変換できる。同ワイヤは、完璧に近い内部量子効率を持っている。「高吸収+優れた変換効率は、高品質の太陽電池になる。これは重要な前進だ」。
 この太陽電池の成功の鍵は、シリコンワイヤにある。「それぞれが独立して高効率で高品質の太陽電池となっている。これをアレイにすると、相互作用によって光吸収能力が高まるので、一層効果的である」と同氏は説明している。
 光は各ワイヤに入ってくる。一部は吸収され、一部は散乱される。ワイヤ間での散乱相互作用全体がアレイを高吸収にする。アレイのワイヤがまばらであってもこの効果は起こる。ワイヤは、セル表面の2〜10%をカバーすればよい。各ワイヤは、長さが30〜100μm、直径はわずか1μm。アレイ全体の厚さがワイヤの長さだ。しかし、面積、体積では、わずか2%がシリコンで、98%はポリマ。言い方を換えると、このアレイは通常の結晶太陽電池の厚さではあるが、体積は2μm厚のフィルムに相当する。シリコン材料は高価な材料であるので、この半導体材料がわずか1/15しか必要でない太陽電池の製造コストは大幅に下がることになる。
 また、この太陽電池の複合材料の特性は柔軟であり、同教授はこの点の重要性についても触れている。「柔軟な薄膜は、ロール・ツー・ロールプロセスで製造でき、本質的にローコストな工程である」。
 さらに今後の展開について、「われわれが作製した構造は、センチメートル平方サイズだ。これを通常の太陽電池レベルの数百センチメートルにスケールする予定だ」とAtwater氏はコメントしている。
(詳細は、Nature Materials Feb. 14 online edition)

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