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フィリップス、完全デジタル光検出技術でブレイクスルー
October 13, 2009, アイントホーベン--フィリップス(Royal Philips Eelectronics)は、画期的なデジタルシリコン光電子技術を開発した。同技術を用いると、超低光レベルの計測が必要な広範囲のアプリケーションでフォトンカウンティングの高速性と精度が向上する。
この新技術がインパクトを与える分野には、医療イメージング、特にDNA配列決定やタンパク質/DNAマイクロアレイなどのPETテストなどが含まれる。他の関連分野には、高エネルギー物理、暗視システム、その他、いわゆる光電子管をベースにした光検出を現在用いているアプリケーションがある。
完全「固体」代替技術に関して言うと、この新しいデジタルシリコン光電子技術により医療診断や監視といった分野に使用する装置のサイズが小さくなり、バッテリー駆動が可能になる。スピードとダークカウントレベル(背景雑音)に関しては、フィリップスのプロトタイプのディテクタは前例のないパフォーマンスを実現しており、10月25-31日に米国フロリダ州オーランドで開催されるIEEEの原子物理学シンポジウム/医療イメージング会議で発表されることになっている。この新しい光検出技術のその他の特徴としては、堅牢さ、低エネルギー消費、光検出効率、それに関連する電子部品と光ディテクションとの集積レベルが極めて高いことが挙げられる。
「シリコン光電子デバイスは、光電子管に比べると、サイズ、重量、信頼性、メンテナンス、消費電力、供給電圧の点で優れている。光電子技術の世界は、間もなくシリコンに取って代わられることが期待できる」とオランダのデルフト技術大学のデジタルイメージングの専門家、Albert J.P. Theuwissen教授はコメントしている。同氏によると、フィリップスの研究者は新しいシリコン光電子分野のR&Dで画期的な成果を上げた。例えば、ダークカウントに関しては、このプロトタイプのデバイスで世界記録を打ち立てた。
フィリップス(Philiips Corporate Technologies)のVP、この新技術の商用化責任者、Rob Ballizany氏は、TV、ビデオカメラ、写真などの通常用途で既に旧来のアナログソリューションに取って代わっている固体デジタル技術に触れ、「写真業界のアナログからデジタルへの移行が成功してきたことから、医療イメージングなどのハイエンドのプロ用途でも今後数年でデジタルディテクタへの移行が同じように進むと確信している」と語っている。
フィリップスのブレイクスルーの要諦は、高品質のシングルフォトンディテクタ(Si APD)と低電圧CMOSロジックを同一のシリコン基板上で結びつけることができる点にある。さらに、この革命的な新しいSi光電子デバイスは通常のCMOSプロセス技術を用いて製造できる。
多くの今日の製品やビジネスが分野横断的な性格を持っていることを考えると、成功の唯一の道はパートナーシップだ。そうしたパートナーシップを実現することがオープンイノベーションというフィリップスの考えの基盤をなす原理だ。この新しいデジタルシリコン光電子技術の市場性をフルに活かすために、フィリップスはアプリケーションの専門家との協力関係を求めている。