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QDレーザ、純緑レーザ光源モジュールを量子ドットで実現
September 29, 2009, 東京--QDレーザは、国立大学法人東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構の荒川泰彦教授らと、世界で初めて量子ドットと呼ばれる半導体微結晶を用いた緑レーザを実現した。
量子ドット緑レーザは、5.6mm径の小型、60℃まで冷却なしで動作するため低消費電力であり、携帯電話やノートパソコンに搭載されるモバイルプロジェクタに最適な製品。量子ドット緑レーザを用いた光源モジュールのサンプル出荷は2009年12月、量産化は2010年中を予定。
昨今、携帯電話、ノートPCなどモバイル機器に搭載可能な、小型かつ低消費電力のプロジェクタ光源が期待されている。光源にレーザを用いることで、フォーカスフリー動作、バッテリー駆動に重要な低消費電力化が可能になる。モバイル用途で使い勝手のよいフォーカスフリー小型モバイルプロジェクタを実現するには、赤、青、緑のレーザが必要となるが、実用に十分な小型サイズ、低消費電力と、低コスト量産性を兼ね備えた緑色レーザは存在しなかった。
QDレーザは、信頼性の高い光通信用DFBレーザの技術を応用し、量子ドットレーザを用いて1064nmの波長を発生、非線形結晶(SHG)を用いて、その半分の波長となる純緑532nm波長に変換することで緑レーザを実現した。 量子ドットレーザは、1064nm波長での電気から光へのエネルギー変換効率が高く低消費電力化に優れている。さらに光通信製品において実績のあるDFB技術を採用することにより、従来、複雑な制御が必要でSHGへの光の安定的結合が困難であった構造をシンプルにすることが可能となり、光結合を安定的に行うことに成功した。
また、同社の量子ドット緑レーザは、DVD用レーザなどコンシューマエレクトロニクス向けレーザやLEDの製造で幅広く利用される、安価なガリウム砒素(GaAs)基板上にて大量生産が可能な点から、コスト優位性がある。
量子ドット緑レーザは、5.6mm径の汎用パッケージTO-56サイズで、直流2Vで動作、さらに60℃まで冷却が不要なため、モバイルプロジェクタに最適な小型化、低消費電力化が実現されている。また、500MHz以上の高速ビデオ変調が可能で、小型モバイルプロジェクタでありながらハイビジョンクラスの画素数の表示を行うことができる。量子ドット緑レーザと、既に実用化されている赤レーザ、青レーザを搭載したRGBレーザ光源とMEMSスキャナの組み合わせにより、超小型、大画面、低消費電力を実現することが可能になる。
Insight mediaによると2012年に3,200万台のモバイル用小型プロジェクタの市場規模が予測されている。モバイル用プロジェクタ以外にも、ヘッドマウントディスプレー、車載用ヘッドアップディスプレー用途などへの応用が期待されている。
開発した量子ドット緑レーザは10月6日から10日まで千葉県幕張メッセで開催されるCEATEC JAPAN 2009にて展示する。